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作品情報

作者:志駕晃
出版社:宝島社文庫

雑感

かなりカジュアルな文体で、主人公の軽いノリに若干イラつく。
内容は良くも悪くも平凡。意外な展開にはならない。

粗筋

泥酔した矢島は恋人殺しの容疑をかけられる

秋葉原FMの人気パーソナリティの西園寺沙也加が何者かに絞殺される事件が発生。

警察は最後に沙也加と会った矢嶋直弥に疑いの目を向けます。
しかし、矢嶋はその際に泥酔しており、記憶が一切ありません。

容疑を否定するも段々と自信を失っていく矢嶋。
やがて彼自身が自分の犯行を疑ってしまうのでした。

個性豊かな面々と話、事件の真相を追え

自分が捕まれば、どうなるか不安になった矢嶋は弁護士の兼田にも相談をします。
しかし、兼田も矢嶋を疑っており、捕まってからの話をする始末。さらには高額な弁護士費用まで要求します。

やはり僕は犯人なのか。刑事の尋問で矢嶋の考えも自分犯人説に傾くことになります。
しかし、刑事に「密室事件のトリックを自白しろ」と言われて、事態はややこしくなります。

そんなの知るわけないでしょう。僕はそういうのに詳しくないんだから。

トリックが判明しなければ、事件解明とは言えない。
矢嶋は知らないと言うので逮捕もできない。犯人なら知ってなければならないのだから。

こうして矢嶋は逮捕一歩手前ギリギリの状態に踏みとどることができました。

果たして事件の結末はいかに。矢嶋は本当に犯人なのか!?

トリック・捜査内容

主人公の情報が一切信用できない

恋人殺害の容疑をかけられた矢嶋ですが、自身でさえ殺したかどうかはっきりしません。

泥酔しており、その時の記憶が一切ない。
もしかしたら刑事さんの言うとおりに殺してしまったのではないか。

途中から刑事と一緒に「自分が犯人なら、どうやってトリックを弄するか」を検討し始めます。他人事か?

もはや矢嶋本人でさえ無実と言い切れない異常事態。まさに「信頼できない語り手」と言えるでしょう。

我々読者はトリックを考えるとともに「矢嶋は本当に無実なのか」どうかも考えなければなりません。

飄々としてテンポの良い会話の数々

とにかく会話が良い意味で軽い。

「あなた犯人ですよね?」
「え、僕がですか?」
「そうですよ。最後に会ったんでしょう?」
「そうですね。じゃあ、僕が犯人なのか…」

会話の例文(実際の文章とは違います)

こんな感じでコントでもやってるんじゃないかという展開が続きます。
真面目なのは刑事の瀬口ぐらいじゃないでしょうか。いや、みんな真面目なんですが、どこか軽くてね。

あまりにも他人事な矢嶋に若干の苛立ちを感じることさえあります。真面目な推理小説とは一線を画している。

そんなノリが終始続くので、サクサクと読み進められます。小説苦手な人も一気読みできそう。

クライマックス

なんか普通に推理小説してる…。
内容は名探偵コナンばりの王道推理。

探偵役が容疑者一同を一か所に集めて、密室トリックを披露します。

ある意味で珍しい、テンプレクライマックスと言える。
まあ、被害者が推理小説作家ですからね。ある意味で当然の結末か。

後味もすっきりとした味わいです。

まとめ

コメディ調で読みやすい。
推理小説に苦手意識を持っている人にこそオススメ。

重い雰囲気は一切ないので、本格的なミステリー小説を求める人には不向き。

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