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作品情報

作者:桐山徹也
出版社:宝島社文庫

粗筋

永遠に繰り返す11月24日

何かがおかしい。郁郎はしばらくして違和感に気づきます。

  • 昨日と同じ登校風景
  • 昨日と同じ授業内容
  • 昨日と同じ晩御飯

なにより家を出る前の記憶がはっきりとしない。
周囲のドッキリにも見えない。信じられないが、同じ日を繰り返しているとしか思えません。

俺にタイムリープを起こした自覚はない。とすれば、他の誰かが原因なのだろう。
こうして郁郎はタイムリープを起こした犯人を捜すことになったのです。

タイムリープに巻き込まれるクラスメイト達

なにをしようか考えた結果、郁郎は登校中に起きた交通事故を思い出します。
同じ学校の玉尾里佳が巻き込まれていました。

何が変わるとも思えないが、彼女を救ってみよう。
ほとんど不審者のように挙動不審になりながらも何とか彼女を救った郁郎。

しかし、結局はタイムリープから抜け出すことは叶いませんでした。
郁郎は脱力しながら11月24日の登校を繰り返すことになりました。

何をしても変わることはないのだろうか。そんな時、玉尾里佳が郁郎を呼び止めます。

これ、どういうこと

作中のセリフより引用

なんと郁郎だけでなく、里佳までがタイムリープに迷い込んでしまったのです。

いったいどういうことなのか。もしかして他にも同じような人がいるのか。
原因を突き止めるため、郁郎たちは11月24日の謎を追うのでした。

トリック

すっきり読めるSFミステリー。
犯人はしっかりクズですが、読後感はさわやか。そんな不思議な物語。

タイムリープに巻き込まれる人を増やして状況を変える

主人公だけ、あるいは関係者だけがタイムリープに巻き込まれる。こういった展開は結構見かけます。

しかし、本作では徐々に周囲をタイムリープに巻き込んでいく設定になっており、これが斬新で面白い。

事故から助けることがキーとなっており、主人公は周囲を観察していくことになります。
あの事故で巻き込まれた人は誰?夕方に鳴り響くサイレンの出所は?

助けた人はタイムリープの原因を究明する仲間になってくれることでしょう。
RPGの仲間集めのようなワクワク感がありました。冒険ってやつやんな。

同じ日を繰り返して、連続殺人犯を突き止めろ

ポップで明るい雰囲気ですが、事件自体はかなり凄惨です。

  • 町内で起きている連続絞殺事件
  • 学園で起きた自殺者の謎

犯人はようとして知れず、次第に人々はこの異常性に慣れていっていると。
明るいけど恐ろしい。クローズドサスペンスヘブンに近いギャップを感じました。

同じ日を繰り返しますが、主人公たちの行動でその日は変化します。
ある種のバタフライ効果と言えるかもしれません。行動次第で殺人事件まで発生するから恐ろしい。

もっとも変化に気づくのも簡単ではありません。全く関係ないと思われる部分で何かが変わってるかもしれないのです。
これが面白いんだよなぁ。間違い探しのような楽しさがありました。

複雑なトリックはなく、犯人の正体も自供あるいは現行犯

あくまでタイムリープの変化を楽しむ作品。
ミステリー小説というよりSF小説のおまけに事件が起こってると思った方が良いかもしれません。

殺人事件自体はワクワクしませんからね。証拠なんてありません。まあ、主人公はただの学生だしな。
王道の推理物語を見たい人には相性が悪いでしょう。

クライマックス

何もかもが解決しますが、グッドエンドと見るかビターエンドと見るかは人次第でしょう。
どうしても登場人物の関係上、犯人は知人になりますからね。若干のショックはある。

殺された人もタイムリープの前の話なので、生き返ることはありません。
タイムリープ中の事故は防げますけどね。なんで事故がやたらと多かったのか不思議ではある。

なお、最後の最後で若干のオカルトになります。この辺も人を選びそう。そもそもが異常事態なので納得するしかありませんが。

まとめ

斬新なタイムリープ作品として面白い。
なお、事件の推理はほとんどしませんので、注意。

フー、ホワイ、ハウダニットもどれもありません。なんかいきなり犯人が見つかる感じです。

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