目次
作品情報
作者:水生大海
出版社:光文社文庫
全体の感想
いくらなんでも胸糞悪すぎた。
登場人物の9割がゴミ
なんていうんですかね。嫌な人間しかいない不快感があるんですよね。
- 会社のお局さんはチクチクと朱莉をいびる
- 刑事の原田はネチネチと追及してくる
- モデルのニイナはヒステリックに喚き散らす
主人公の朱莉もひたすらに暗いので、ずっとメンタルが落ち込んだ状態で読み進めることになりました。
推理小説なので1人2人は嫌な人間がいるもんですが、まさか全員とはね。
変にリアルというか人物描写があまりにもしっかりしているので、人によってはトラウマがフラッシュバックするんじゃないかな。
お局さんとか見たくないのにどんどん絡んできますからね。お前、なんやねん。
朱莉がひたすらに苦しむ物語
まとも枠もゼロではないんですが、だいたい悲惨な目に合ってます。
ていうか、朱莉自身がアレなんで。隠し続ける過去がある時点で察してあまりある。
世界のすべてが朱莉の敵となって、おそいかかってる感じ。唯一の味方の典子も殺されました。
朱莉が何をしたって言うんだ。読者は皆そう思うに違いない。
過去の事件の関係者の地獄を書きたかったのか
まあ、作者の伝えたい所はここかな。
過去に起こった事件は永遠に当事者を蝕み続ける。そんな地獄を表現したかったのでしょう。
実際、その観点で見ると非常によくできています。
誰も彼もが過去に振り回せレ鄭て、今回の事件もそれがトリガーとなりました。
朱莉は日常になじめず、孤立気味。あまりにも辛い。
そう考えると非常にリアルな物語だなと。事件の後遺症に悩む人の現実をこれでもかとぶつけてきます。
トリック
え、そんな最後になるの?
悪い意味で予想外と言うか。いくらなんでも脈絡なさすぎな犯人ではあった。
安易な衝撃のラストに消化不良感
確かに「衝撃のラスト」ではあるけど、出てくる証拠が悉く取って付けたものなのが何だかな。
意外性を重視過ぎて、どうでもよい人物を槍玉にあげたというか。
何がイヤってそこまでの展開と重要参考人の登場に脈絡が無さすぎる。
人物の癖を適当に伏線として残して、それに驚愕する展開ばっかなんですよなあ。
確かに予想しない犯人でしたが、役不足感が否めない。
謎が解けてすっきりした!っていう爽快感は一切ありません。
人物だけムダに多くて理解が追いつかない
多すぎ多すぎ。
終盤になってまで新たな人物が出てくる意味不明さ。
それでいて速攻で作中の役目を終える人物ばかりなのも悲しい。
犯人の予想をつかせたくないんでしょうが、「衝撃のラスト」となると必然的にしっかりと人物描写した人に限られるからそんなだし。
クライマックス
最高にモヤモヤする。
なんかよい感じに終わってますけど、何も解決してなくね?
いや、犯人は捕まったんですけど、これまでのわだかまりが一切氷解してない。
なんで朱莉はそんなに前向きになれたのか。まったく分からない。なんなら全部に絶望してもおかしくないはずだが。
まとめ
不快感の強い登場人物が目白押しで、犯人もいまいち驚きを感じなかった。
なによりハッピーエンドぶってるくせに全く事態が好転してない理不尽さを感じました。
ここまでするならいっそバッドエンドで終わらしても良かったぐらいではある。