作品概要

メーカー:黒手袋
プレイ時間:8時間(第3章まで)

シナリオ

君のアパートに妖怪が紛れてるよ

常にフードを被った謎の青年が大家さんに告げる信じられない事実。
4週間後の新月には、妖怪によって不幸にされてしまうと言うのです。

助かる方法は期日までに妖怪を見つけて、追い出すことだけ。

こうしてイマイチ危機感のない主人公と自由気ままなアパート住人の運命をかけた話し合いが始まるのでした。

言われてることはヤバイんですけど、最初から最後までほのぼのしてます。
不穏過ぎるレイジングループとは対極の存在ですね。まあ、これ言うて人狼ゲームじゃないんだけど。

実際、鬱屈した凄惨な内容はほとんどありません。気軽にプレイしましょう。

妖怪であってほしくない良き住人たち

あんたの無実を証明しようと調べれば調べるほど、あんたが犯人だという証拠が次々と出てくるんだから

名探偵コナンより

この言葉をこれほど強く感じた作品は中々ありません。

作品説明文でもありますが、本作は「静かに心が温まるキャラクターたちの成長の物語」です。
それは大家さんだけでなくアパートの住人皆に言えること。

人嫌いを克服したり、周囲との関係を考え直したり。
妖怪事件が解決して、生き残った住人は次の季節で成長した姿を見せてくれます。

しかし、そんな彼らも妖怪と断定されれば、アパートを去らなくてはいけません。

初対面ならばまだ良いでしょう。ただ、以前からの住人に妖怪が成り代わっている場合も無視できない。
当時は大丈夫でも今回は無事か分からない。

結果、プレイヤーはお気に入りの住人のシロを探そうと必死になるのです。

出会いと別れ。ある種、当然の流れではありますが、どこまでも切なく辛いゲームでした。

ゲームシステム

最終日まで情報を集めてクロを当てろ

人狼風推理アドベンチャーと銘打ってますが、人狼のシステムは一切ありません。
役職もなければ襲撃もないですからね。

ひたすら情報を集めて、クロとシロを選別する。一般的な推理ADVと言えるでしょう。

住人との対話で手がかりを見つけ出せ

ミステリーの基本は聞き込み。
「妖怪は嘘を付けない」という唯一にして最大の特徴を探し出すのが目的です。

もちろん分かりやすくボロを出す人はいません。いや、やろうと思えばできるのでしょう。
しかし、管理人は「あなたは妖怪ですか?」というキラー質問を失礼だとの理由で使いません。

これには謎の男も呆れていますが、それが管理人の想いならばプレイヤーも付き合うほかない。

毎日の何気ない日常や誰が怪しいと思うかを誘導質問なしで聞き取ります。ある意味で管理人の意思でゲームにしてるわけ。

管理人が聞き取った内容で違和感を感じたらメモを取っておきましょう。それが妖怪を追い詰める切り札になります。

全てを判明して、さあ、追放だ

明らかな矛盾を発見すれば、いよいよ追放フェイズ。
ただ追放者を指定するだけでなく、クロと思った根拠も提示しなくてはいけません。

それだけならば話は簡単ですが、本作ではシロと思った人の根拠も必要です。
要するにヤマ勘で当てても住人に化けた妖怪は納得しないのです。

管理人はクロとシロを根拠も含めて確定させなくてはいけません。これが非常に厄介。

シロっぽい情報を探すのも大変なんですよ。わざとかってぐらい疑わしい行動を取りますからね。
真相を全て解いてからでないと解決にはならない。中々に難易度の高いゲームですわ。

引掛けやが多く、ドツボに陥りがち

第2章でガチで詰んだ。これを超えられる人は誇ってよい。

僕は最後の詰めで1時間ぐらい悩んで、結局はDiscordサーバーの攻略情報を確認しました。

何が嫌らしいってミスリードが多いんですよ。
これが明らかに根拠だろって情報もよくよく考えると、追い詰めるには一歩足りなかったりする。

言葉の真偽だけでなく、本物であればあり得ない行動を取っているかどうかも見なくては真相は見えてきません。

つまり、言動を軽く読むだけでなく、本気で住民の心を理解しないと事件を解決できません。

サクサクプレイを目指す人ほど地獄を見る。結構、躓く人は多そうだ。
一方で、じっくり読む人は意外とあっさりクリアできると思います。確かにこれしかないわって証言は必ずあります。

まあ、頑張ってください、そして、一緒に苦しもう。

まとめ

短時間で遊べる推理ゲーム。
個性豊かな面々も登場するハートフルな内容に仕上がっています。その分、追放時の苦しさも半端ありませんが…。

価格も手ごろなので、ぜひどうぞ。

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