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作品情報

作者:今村昌弘
出版:創元推理文庫

粗筋

屍人荘の殺人の続編。
できるかぎり前作のネタバレをしないようにしてますが、本作から読まないことを推奨。

今回のテーマは「超能力」。
預言者と恐れられる老女に会いに行った主人公一行。そこで恐ろしい予言が語られます。

曰く、「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」

それからしばらくして炎上する橋。
クローズドサークルとなった魔眼の匣で主人公は生きて脱出できるのか!?

全体の感想【★★☆】

中盤までの展開はかなり遅め。
前作と比較して怒涛の勢いにはなりません。正直少し飽きかけた。

ただ、殺人が起きてからの推理パートはかなり面白かった。

推理を混乱たらしめてるのが超能力の存在です。

前作は非現実の要素を加えた「特殊設定ミステリ」となっていました。
本作は同じ世界なので、同様の設定を入れたと読者は考えるところでしょう。

しかし、超能力はホンモノなのかニセモノなのか。それが一向にはっきりしません。

断定できれば、それを元に推理できるでしょう。
逆に言うと断定できない場合は根本的に推理を間違う危険性があるのです。

作中でも超能力を信じる人とそうでない人で推理内容がまるで違います。
普通に考えれば超能力は非現実的で受け入れがたいですが、前作のせいでそうもいかない。

超能力を信じるか否か。他作品とは全く異なるベクトルで進行する異色の推理小説となりました。

トリック【★★☆】

前作の「特殊設定」を利用した「今作も特殊設定を使ったかどうか」疑惑。

中々に斬新ですが、冷静に考えると現実世界とそう変わりません。
現実でもそれが本当かどうか疑いますからね。

そう考えると、かなり王道の作品ではある。
一般小説と比べても突拍子のない展開はありませんからね。

まあ、それが悪いわけではないですが、オリジナリティとしては普通かなと感じました。

クライマックス【★★★】

面白い。
事件そのものの結末もですが、登場人物が隠す謎を解き明かすときが快感。

魔眼の匣の成り立ち。そこに住む住民と老女の確執。
誰が物語のカギを握っているのか。

もうそろそろ謎解きも終わりかな、という読者の思考を何度も裏切る展開が続きます。

予想外のところに話が広がりますからね。でも、確かに推理小説だよ。

まとめ

前作のような常にクライマックス感はありませんが、推理小説としては間違いなく名作。
中盤までだれるかもしれませんが、そこは向き不向きか。

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