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作品情報

作者:東川篤哉
出版社:光文社文庫

雑感

コメディ調のフーダニット特化作品。
ダイトルで殺害方法のネタバレがされているので、アリバイ工作も動機調査も意味を成しません。

終始ノリが軽いわりに事件そのものは凄惨。
伏線の回収は見事で、最後の推理パートも探偵小説として文句ありません。

総評すると、読後感の良い本格推理と言えます。

なお、シリーズ作品なので、気になる人は1巻から読んでください。
まあ、主要人物の説明が省かれてるぐらいなので気にするほどでもありません。

粗筋

不倫調査のはずが…

夫の浮気調査をしてほしい。
私立探偵・鵜飼に届いた1つの依頼。

絶賛家賃滞納中の事務所のオーナーである朱美を引き連れ、鵜飼は善通寺邸を訪ねます。

不倫を疑われた春彦の第一印象はごく平凡。不倫をするような大それた男には見えません。
しかし、ことあるごとに挙動不審な態度を取る晴彦に鵜飼は疑念を抱きます。

これはただの不倫なのか?もっと別の何かがあるのでは?
鵜飼たちは予想だにしない事件に巻き込まれようとしていました。

ガールフレンドとの旅行のはずが…

友人に頼まれたカメラの買い物に付き添ってほしい。
探偵の弟子・戸村に届いた1つの依頼。

見目麗しい十乗寺さくらの頼みを断る道理はない。
戸村は二つ返事で快諾。カメラを購入し、さくらと一緒に友人の水樹彩子に会いに行きました。

出会った彼らは彩子の所有する別荘に宿泊。戸村は両手に花の幸せを満喫します。

ところが向かいの別荘で鬼気迫る親子喧嘩が発生。あまりの剣幕に戸村は仲裁に入ります。

その場では収まりましたが、どこか不穏な影を残してしまいました。
このまま平和に終わればよいが。残念ながら戸村の願いは叶うことはなかったのです。

登場人物

なんて緊張感のない奴らだ!

事件の重さと登場人物のテンション差で風邪をひきそう。

探偵も刑事も軽い。ひたすらに軽い。
それでいて優秀で、大事なところをしっかりと決めてくれる。

小気味の良い奴らばかりで不快感がありません。彼らのおかげで悲壮感をまるで感じさせない。

当たり前ですが、シリアスを求める人には向いてません。こいつらには無理ってもんだ。

事件

数が…事件の数が多い…!

何1つ一貫していない殺人事件が多発している。
そら交換殺人だからね。殺害方法もアリバイ作りも人によって違うわな。

交換殺人という事前情報が無ければ、読者は早々に思考を放棄していたかもしれない。
ちなみに事件は2つではありません。もっとある。どういうことなの…。

この段階で他の推理小説は一味違います。びっくらこいたよ。

事件自体は一瞬で解決するし、探偵は蚊帳の外

物語としては、事件に主人公がただただ巻き込まれる形で進んでいきます。
事件が複雑だから事前情報を持たない探偵には推理できないんですよね。

全てが明らかになった時、あの時の出来事はそういう意味だったのかと納得することしかできません。
要所要所で探偵らしい閃きはありますけどね。主役らしい活躍かと言われると疑問ではある。

また、事件編でページ数を使い過ぎたので、調査編はありません。いきなり解決編です。

登場人物も多いからね。仕方ない。
推理小説とキャラ小説が半々になった作品と考えた方が良い。

クライマックス

そっちかよ!

想像もしてない方向から急に頭を叩かれたような衝撃!

帯の文章より

帯の文章に偽りはなかった。
バラバラに見えた複数の事件が意味不明な部分で繋がっていたのです。

クライマックスの推理パートでネタバレが行われますが、あまりにも複雑な事件なので結構なページ数を使っています。

事件自体はそこまで大げさではないんですが、よくもまあ書き上げたよなと。

まとめ

コミカルで実に面白い。
が、推理小説よりキャラ小説の比重が大きい。

良くも悪くも暗さが全くないので、どっぷりと推理につかりたい人には不向き。

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