
目次
作品情報
作者:深谷忠記
出版社:徳間文庫
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雑感
ここまで綺麗に裏目が連鎖するんだな。シュール過ぎる。
どいつもこいつも最悪の手段を選び続けた結末になっています。
それもワザとではなく、誰かのために最善を選んだつもりですからね。
どんどん証言が変わる裁判は喜劇そのもの。判事たちが可哀そうで仕方ありません。
いったい何が真実なのか。結末はどうなるのか。ぜひ読んでほしい傑作でした。
登場人物

女1人で息子を育てるママさん弁護士。
能力が高いとは言えないが、人を惹きつける不思議な魅力を持つ。
優秀かと言われると微妙。
自力で真実を暴くことはほとんどなく、他人のアドバイス頼りな部分が目立ちます。
しかし、口を閉ざした人間の心を溶かす才能は一級品。やはり弁護士は天職なのでしょう。
そんなわけで人に頼り過ぎな部分こそあれど、不快感のない良い主人公だと感じました。
内容はかなりドロドロなんですけど、佐和子のおかげで鬱になりません。
スラスラ読めるんだよね。
事件
大学生に翻弄される身内たち
なにやってんだよ、文彦ぉ!
風俗嬢にガチ恋した大学生ってだけで相当に痛い。
不幸な境遇な彼女に同情する上から目線っぷりもえぐい。
更に彼女を救うために家族全員を不幸にしますからね。若気の至りですませられると思うなよ!?
祖母から金を騙し取るわ、裁判で偽証をバンバンするわ。
あの父にしてこの子ありかと思わざるを得ません。
最後まで反省してるように見えませんし。お母さんが一番可哀そう。
いまいち主人公が活躍できない
そういうコンセプトなんで仕方ありませんが、脇役に良い所を取られすぎ。
特に文彦の友人である潔がちょっとなあと。
文彦から情報をもらってるアドバンテージこそあれど、それ以外の真実もバンバン言い当てるのは流石に。
佐和子も頼りきりで一介の大学生に情報をどんどんバラす始末。守秘義務どうなっとんねん。
その代わりに佐和子は彼の心を救っているのでWinWinではあるんですけどね。
まあ、この辺が気になりだすと止まりません。あまり意識しないように頑張りましょう。
引っ掻き回す証人が最高にエンタメ
色々と文句を言いましたが、法廷推理小説として傑作です。間違いない。
主役は証人たちと思いましょう。彼らが弁護士・検事・判事を手玉に取ってます。
切れかかってる検事に同情するしかありません。トラウマになるんじゃないかな。
判事も嘘はだめだよ?と注意してるのにガン無視です。自由かよ。
それでも挫けずに弁護を続ける佐和子は本当に偉い。
クライマックス
正直、天才的なラストだと思った。
安易にハッピーエンドいくのかなあと思ってた僕を殴りたい。
じゃあバッドエンドかというと、それも違う。
因果応報でもない。罪と報いの配分がぐっちゃぐちゃで笑うしかありません。
なんでお前は許されてんねんって奴もいれば、流石に可哀そうになる人もいます。
色々とモヤモヤしますが、これ以外にないラストなのも間違いありません。
結局、誰が一人勝ちしたのか。ぜひ最後まで読んでほしい。
考察:若さゆえの過ち
徹頭徹尾、若気の至りをテーマとしている作品。
大学生にこそ読んでもらいたい作品でした。
人生経験が少ないのに自分を過信し、大人を全く信じない文彦。
確かに大人が全て正しいとは言えません。実際、間違いだらけの大人も登場します。
しかし、すでにいくつもの困難にぶつかってきたのです。アドバイスを全て無視して良いことはありません。
また、文彦は都合の良い言葉を吹き込む大人だけ妄信しており、これも現代を生きる若者への警告になっています。
テレビだろうがYoutubeだろうがSNSだろうが基本は変わりません。
最初に自分の考えを妄信した人間にはどんな情報も意味はないのです。まず自分の考えを疑う。これこそ重要な思考だと僕は思うわけです。
まとめ
ある意味で証人たちが主人公の法廷推理小説。
主人公はそんなに活躍しないのだけ注意かな。