目次
作品情報
メーカー:墓場文庫
価格:1,980円
プレイ時間:13時間
販売サイト:
シナリオ
ハードボイルドゲーム「和階堂真の事件簿」の製作者が発表した新感覚の都市伝説推理ゲーム。
ミステリー好きを惹きつける上質な謎はもちろんオカルト好きがよだれを垂らす程の都市伝説をこれでもかと見せてくれます。
なお、ホラー苦手な人も問題ありませんが、ちらほらビックリ要素があります。夜のプレイは注意してください。
オカルトと真摯に向き合う異色の推理ゲーム

トイレの花子さん、異界、ドッペルゲンガー。
この世界には多くの都市伝説がありますが、そのすべてに事実に基づいた原因があります。
例えば、呪いのイスであれば、死を噂されるだけの根拠。「トリック」であれ「呪い」であれタネは必ずあるのです。
都市伝説解体センターではそれを綿密に調査し、解体、つまり、原因を追究します。
オカルトを超常現象と妄信するのではなく、妄言と切り捨てるわけでもなく、とことん真摯に向き合う、そんな奇抜な作品でした。
仮に人為的な原因であってもインチキではありません。それも含めて都市伝説なのです。
都市伝説へのアプローチとして本当に面白い。
プレイ前は「嘘を看破するリアル路線」か「超常現象が当たり前のファンタジー路線」のどちらかを想像していましたが、良い意味で裏切られました。
どちらでもあってどちらでもない。そんな不思議な世界を最後まで堪能してください。
現場に残されるイルミナティカードの意味は

あざみは調査員として様々な都市伝説を調査し、真実を突き止めます。
しかし、それらは大きな謎の一部でしかありませんでした。
なぜか事件関係者全員が持っている謎のカード。不穏な意味を読み取れ、あざみは心をかき乱されます。
更にSNS上で頻繁に呟かれる「GR」という単語も気になります。どうも過去のある事件を発端として、信者が暗躍しているようです。
最初はただの呟きに過ぎませんでしたが、段々と大きなうねりとなって人々を翻弄するように。
そして、その中心には白装束の怪人が。いったい目的な何なのでしょうか。
これも都市伝説なのか。それとも大いなる何かに隠蔽された事件なのか。
あざみは様々な事件を通して本当の真実にたどり着くのです。
一連の事件が融合し、巨大な都市伝説となって襲い掛かる恐怖と高揚感。プレイヤーも当事者として表現の出来ない感情に翻弄されていくことでしょう。
登場人物
物語を彩る個性豊かな登場人物たちのご紹介。
あざみ

感受性豊かな女の子であり、都市伝説解体センターの調査員。
ジャスミンが飽きれる程の世間知らずで、プレイヤーと一緒にオカルトの世界を学んでいきます。
人の心を開く才能は天下一品。どんなに不愛想な人間もいつのまにか情報を話しています。
とにかく前向きで優しい彼女は本作の清涼剤として最後まで活躍してくれることでしょう。
なお、彼女は能力「念視」を持っており、過去の痕跡を可視化することができます。
彼女自身が都市伝説みたいな存在なんですよね。いったい何者なのでしょうか。
ジャスミン

都市伝説解体センターのドライバー兼用心棒。
ドライな性格ですが、面倒見が良くあずみの良き先輩として色々とアドバイスをくれます。
意外とビビリなのもチャームポイント。あざみと一緒だと仲の良い姉妹みたい。
彼女と一緒なのが本当に心強く、たまにいない時はあざみも不安を隠せない様子。可愛い。
特異な能力こそありませんが、人脈が異常に広く彼女も得体が知れません。
廻屋

都市伝説解体センターの局長であり、1から100までミステリアスな人物。
年齢不詳、あざみを引き入れた目的も不明、車椅子の理由も不明、都市伝説が好きな理由も分からない。
ないない尽くしでどこまでも胡散臭い人物です。
ただ1つ、推理力だけは間違いなく、最後の謎解きは彼が全部やってくれます。
ミステリー小説でいう安楽椅子探偵ですね。果たして彼の正体は解き明かされるのでしょうか。
また、能力「千里眼」を持っており、あざみの行動を常に把握しています。怖い。
ゲームシステム
ゲームオーバーもなくルートも一本道。
プレイヤーの操作する場面こそ多いですが、ゲーム性を楽しむ作品と思わない方が良いです。
怪しい場所をどんどん調べるだけで物語は進んでいきます。悩む要素はありません。
依頼を受け、まずはSNS調査から

SNSが発達した現代。奇しくも依頼者はインフルエンサーばかりでした。
となると事前調査にSNSはもってこいなわけで、依頼者に会う前に情報収集をしておきましょう。
情報収集パートでは、呟きをクリックすることであざみ達の会話が始まり、情報を整理していきます。
気になるキーワードがあれば検索で更なる深堀も可能。ネットの海をどんどん潜っていってください。
また、調査とは関係のない都市伝説の話題がでることもあります。プレイヤーはあざみとともに様々なオカルト知識を吸収していくことになるでしょう。
実地調査で情報を集めろ

依頼の内容は様々ですが基本方針は「都市伝説を特定して、原因を排除すること」です。
あざみは探偵のごとく関係者の話を聞き、気になる個所を調べていきます。
とはいえ、彼女はまだまだ半人前。とてもではありませんがプロの探偵には及びません。
そこで彼女が持つ特殊能力「念視」を活用し、誰かが残した痕跡を視覚化していきましょう。
このおかげで普通の人では気づけない証拠を見つけ出すことが可能。彼女だからこそ解決できる事件はいくつもあるのです。
ところで、あざみの能力こそオカルトチックですが、果たして彼女は何者なのでしょうか…。
都市伝説を特定し、調査の方針を立てろ

依頼の段階では情報が曖昧で事件の全体像を掴めません。
そのため、まずは都市伝説を特定することから始めましょう。
都市伝説は基本的に複数のキーワードから構成されます。
例えば、ベッド下から登場する怪異は「ベッド」がキーワードですし、呪いのイスであれば「イスに座る=死」がキーワードになるのです。
局長の廻屋はあらゆる都市伝説に精通しており、あざみの調査報告で得たキーワードから瞬時に今回の都市伝説を特定してくれるでしょう。
全ての謎が解けた時、廻屋の解体が始まる

都市伝説を特定したら引き続き調査を開始。
そして、全ての情報が集まり次第、「解体」を行います。
いわゆる解決パートですね。一連の謎の種明かしとまいりましょう。
果たしてこれは超常現象だったのか。それとも何者かのトリックなのか。
これまでの謎を全て解消する爽快感を味わってください。
まとめ
都市伝説に真摯に向き合った傑作。
ゲーム要素は薄いので、ADVとしてプレイすると吉。人気なのも納得の出来栄えでした。