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作品情報

作者:知念実希人
出版社:角川文庫

雑感

サスペンスがオマケの医療ドラマ。

澪の身に起きた事件解決が目的の長編小説ではありますが、実際は複数の短編小説から構成されています。

様々な難病にナースエイドとして向き合う澪。
命を救うことを全てとする完全合理主義の竜崎。

この2人を中心に動く医療ドラマと言えるでしょう。

なお、短編小説の集合体という都合上、登場人物が多く一人一人のキャラが薄いです。

言うほどのどんでん返しもありませんでした。
サスペンス要素は半端であり、特に感じ入ることはない。

サスペンスを求める人は螺旋の手術室の方をオススメします。

粗筋

ナースエイドとして患者に寄り添う

新人ナースエイドの桜庭澪。
医師や看護師に職業差別を受けながらも懸命に仕事を続けていました。

  • 食道がんの手術を控えた老婆
  • 結合双生児の姉妹
  • 覚醒下開頭頭蓋内腫瘍摘出術を受ける女性

手術に不安を感じる患者たちに寄り添い、澪はナースエイドにしかできない使命を学んでいきます。

自分と似た過去を持つ竜崎との会合

天才外科医の竜崎との出会いが澪に変化を与えます。
患者の気持ちを考えない非情な男。しかし、その中には確かな信念があった。

彼の中の想いを知るにつれ、2人はお互いを高めあう医療パートナーとして成長をしていきます。
そんな2人に襲い掛かる様々な障害。医療従事者として立ち向かうことになるのでした。

登場人物

どっちが主人公か分からない

ひたすらに竜崎の話が深堀りされて、主人公の澪の描写が半端。
ぶっちゃけ主人公を食ってるんですよね。

なぜ主人公を竜崎にして話を作らなかったのか不思議で仕方ない。

モブが多すぎ問題

それ自体は良いんですが、そもそも必要性を感じないんですよね。
言ってしまうと、澪と竜崎の魅力を引き出すための当て馬ばかり。

いじわる看護主任とかネグレクト母親とか。
単純に不快なだけで、凄惨な事件と何の関係もありません。

事件

サスペンス要素はほとんどない

医療ドラマと割り切った方が良い。それぐらい謎が空気。

謎に向き合ってないですからね。それよりナースエイドの仕事を優先してます。
当時の調査は何1つしません。聞き込みも現場調査もなにも。

唯一の証拠が見つかったのは偶然に過ぎず。謎解きの爽快感は全くありません。

医療ドラマとしては面白い

医師としてどうすべきか。
それに対する竜崎の決断にドラマがあった。普通に熱い。

問題なのが主人公の澪についてはドラマ性がないこと。

なんか良い感じになってますけど、竜崎に比べて薄味すぎる。
よく言えば竜崎のキャラが素晴らしいと言えますか。いや、でも、うーん。

クライマックス

え、これで終わり?
肝心なところで何も分かっていない。黒幕の目的は結局なんやねん。

続編が出るのかなあ。そう思わないとやってられない。

まとめ

医療サスペンスではなく、医療ドラマ。
そう考えるとそれなりに楽しい。

謎解き要素はほとんどない。偶然の連続で勝手に解決してる。

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