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作品情報

作者:道尾秀介
出版社:文春文庫

粗筋

まあ、普通かな。
本書は3つの短編と1つのエピローグで構成されています。

舞台は同じで再登場する人物もいるんですけどね。

ラスト1ページが暴き出すもう1つの真相をあなたは見抜けるか

帯の文章

このラスト1ページは短編ごとの話であり、本書全体の話ではありません。
長編と考えながら読むとなんともガッカリな終わりになります。

弓投げの崖で起きた死亡事故にまつわる話

死んだのは誰か?

第1章の問いかけ

安見邦男が運転する車がチンピラ達の車に衝突。
すぐに警察を呼べば助かったのでしょうが、チンピラはそのまま逃走し最悪の結末を迎えました。

それからしばらくしてチンピラの殺害事故が起きます。
これはやはり復讐なのか。それとも他に真犯人がいるのか。

刑事の隈島は邦男の妻弓子を訪ね、事件の真相に近づいていきますが…。

それは妄想なのか現実なのか

なぜ死んだのか?

第2章の問いかけ

中国から越してきた少年の馬珂はその名前のせいで「バカ」と虐められていました。
両親の経営する飲食店も閑古鳥が鳴いており、彼は妄想に逃げるしかありませんでした。

そんなある日、彼は駄菓子屋で殺人事件を目撃します。
ところが、翌日に訪問すると死んだと思っていた老婆は生きていたのです。

僕の妄想だったのか。それとも本当に誰かが殺されていたのか。
何も気づけないまま真実が彼に襲い掛かります。

自殺か他殺か

罪は誰のものか?

第3章の問いかけ

第1章の事件から6年後。隈島のバディだった竹梨は新人の水元と組まされるようになっていました。
宗教団体の女性が死亡した事件。それが水元の初陣です。

警察は自殺で考えていましたが、水元はそれに納得できません。
ほぼ他殺と断定して、聞き込みや現場調査を行っていたのです。

人を殺しておいて自由にさせてたまるものか。義憤にかられた新人警官らしい行動と言えるかもしれません。
竹梨は調査をほぼ水元の自由にさせ、自分はそのサポートにまわっていました。

ところが、調査が進むにつれ、物語はあまりにも救いのない展開に進むのでした…。

トリック

読者に解かせる作者の強い意志

構成を見るに作者は読者に真実を暴いてもらいたいと考えてそうなんですよね。
だからこそ他作者の考察でネタバレが一切ありません。

作者の問いの答えは自力でたどり着かないといけないのです。あなたの知恵が試されている。

まあ、エピローグに答えがほぼありますけどね。それでも名言はされていません。
分からなかったら考察サイトを見ましょう。

エピローグも謎がありますが、これは素直に読めば分かると思います。タイトル通りではある。

騙されるわけでもないし、2週目に驚くわけでもない

あくまで真実に気づけるかどうか。
嘘の真実で読者を煙に沸いてるわけではありませんし、叙述トリックがあるわけでもない。

煽り文句負けしてる感は正直ある。終わった後の満足感はない。
まあ、普通の推理小説かなって感想です。

クライマックス

短編ごとのクライマックスはほぼありませんし、エピローグも静かに終わります。
どこで盛り上がれるかと聞かれても「ありません」としか答えられない。

てっきり長編と思ったんだけどなあ。登場人物が同じだけで関連性はほぼないんだよなあ。

まとめ

無難に読めるけど、あっと驚く感動はない。
謎を自力解きたい!って人には良いと思う。変なだましがないので解こうと思えば解けます。

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