
作品情報
作者:桃野雑派
出版社:講談社文庫
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雑感
なんだろう。何か物足りなかった。
動機もトリックも宇宙空間ならではの設定で面白い。
ただ、肝心の登場人物にいまいち魅力を感じませんでした。
設定はしっかりしてるんだけど、キャラが薄いんだよな。
登場人物の魅力を重視する方にはオススメできません。
一方でトリック重視の方にはオススメ。中々に斬新な内容です。
登場人物
主人公の土師以外マジで覚えられない。コイツ誰だっけってなる。
まあ、仕方ない面はあります。ほぼ全員が初対面で少なくとも表向きはわだかまりがありません。
更に事件の関係者は死んだ機長を合わせると9人という大所帯。そら忘れるわって話。
癖の強い人物はいますけどね。宇宙平面論を唱えるオッサン、毒舌の女子高生など。
ただ、話の本筋にあまり関わりません。オッサンに至ってはノイズです。
女子高生は思わせぶりな言動が多いだけに残念だった。表紙を飾っておきながらなんだったんだ、こいつ。
続編で主人公になるので、今回はお休みということなのかもしれません。
事件
宇宙ならではの設定が面白い
勉強になるし、インパクトもある。
「無重力状態の首つり死体」という字面だけでワクワクします。
真犯人の特定が消去法なのは残念でしたが、動機も斬新で面白かった。
何より宇宙を舞台にしたミステリーはほとんどないので、なんだかんだで読む手が止まりませんでした。
詰め込みすぎで駆け足感がぬぐえない
登場人物の過去、宇宙ホテルまでの道のり。そして、脱出。
更に宇宙空間や宇宙ホテルの構造説明もあり、詰め込み過ぎな印象を受けました。
設定がややこしいミステリーなので、説明必須なのは分かるんですけどね。
どんどん話が動くのは面白いですが、状況整理が本当に大変。
話の整理役もおらず、ホテルの構造も複雑。結果、何となくの理解で読み進めることになりました。
クライマックス
予定調和。さすがに全滅エンドはありません。
可もなく不可もなくと言ったところでしょうか。
正直ここから先の展開を知りたかったのですけどね。遺族の感情とか。
どうにも刑事小説好きな僕からすると、犯人や被害者の家族周りが気になってしまいます。
まあ、それでも不満を持つほどではありません。
まとめ
設定が盛り盛りすぎて理解が追い付かない。登場人物も印象に残りません。
ただ、宇宙を舞台にした推理小説として完成度は高い。
宇宙以外は癖のない内容なので、推理小説をあまり読まない人にもオススメです。