作品情報
作者:似鳥鶏
出版社:講談社文庫
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雑感
万国びっくり人間ショー。
各国の名探偵が日本に集結し、推理ゲームをする物語です。
どことなくFate Zeroを思い出す展開ですね。
ただし、実際の所、推理ゲームはほとんどオマケ。
メインは名探偵の短編小説を集めた作品と思っておきましょう。
長編小説として読むには正直物足りない。
登場人物
どいつもこいつも癖が強い。
- AIと口げんかする天才ハッカー「シャーロット」
- アンニュイなゲームクリエイター「ボグダン」
- インチキカルト教会の息子「マテウス」
- 無限にしゃべり続けるハンドラー「高崎」
彼らは常人にはマネできない特殊能力を兼ね備えており、それを用いて難事件を一瞬で解決してしまいます。
こいつらだけでもお腹いっぱいですが、各章で更にワトソン的キャラも登場します。
まあ、ぶっちゃけ彼らは名探偵の凄さを説明する存在に過ぎませんけどね。推理大戦には不参加ですし。
いずれにせよアベンジャーズの如く名探偵が大量に登場するので、キャラ小説好きにオススメです。
逆に事件内容を重視するならやめたほうが良い。そんななので。
事件
短編小説として綺麗にまとまっている
終章の「決戦」の前に各章で各国で活躍する名探偵が関わった事件が紹介されます。
どれもが不可能犯罪と言われるほどの難事件。
しかし、彼らは持ち前の能力を活かして、あっという間に解決してしまうのでした。
短いページ数ながら起承転結がしっかりしており、短編小説としては間違いなく面白い。
トリックも実に奇抜なんですよね。よくもまあ考え付いたものだと。
名探偵の深堀もしっかりしており、キャラに愛着も持てました。
推理大戦は名前負け感が強い
一方で終章の決戦はインパクトが弱かった。
名探偵の能力を強くし過ぎ弊害で、生半可なゲームだと一瞬で終わるとしか思えないんですよね。
しかし、それだと小説として成り立たないので、実際に始まると何度も間違えてるんです。
そうなると、今度は今までの超人っぷりはなんなのかとなるわけで。
何というか、風呂敷を広げすぎて収集がつかなくなったように感じました。
特にマテウス君が可哀そうだった。
バトル漫画で言う一撃必殺持ちなんですが、それがラスボスに通じるわけもなく…。
クライマックス
ラスボスがまじでラスボスだった。
まあ、確かにこれなら通るのか?いやでも、これってどうなん?
一応は伏線もあったようなので、アリなんでしょう。でもなぁ…。
そんなモヤモヤとする結末でした。
「推理大戦」と銘打った割に反則気味な着地なんだよなぁ。
やはり名探偵が強すぎたか。終わってみると、これ以上の結末ないもん。
まとめ
キャラクターの個性が光る異色の推理小説。
名探偵を紹介する各短編もきれいに纏まっており読みごたえがありました。
ただし、肝心の推理大戦は正直微妙。少なくとも推理小説で許される展開ではない。