探偵の眼:さらば、最愛の人よ【レビュー攻略】

作品情報
メーカー:Armonica LLC
価格:2,300円
クリア時間:5時間弱
販売サイト:
シナリオ
1本のサスペンス映画を観終わったようなセンチメンタルな気持ちに浸れる作品です。
半日程度で終わるのも個人的には嬉しい。ちょっとした空き時間にプレイすると幸せになれます。
価格相応のボリュームと思うかは人によると思う。少なくとも僕は満足できました。
1つ1つの設定が非常に濃いですからね。果汁100%ジュースをストレートで飲んだ感じ。
複雑に絡み合った2つの事件を追え

楽しい旅行の途中で起きた銃撃事件。
主人公たちに関係ないものと思われましたが、事件は執拗に彼を追い求めてきました。
数日間の寝台特急の旅路に何故か乗り込む刑事のダルトリー。
そして、車内で行方不明になった女性と彼女の存在を隠し続ける乗客たち。
今、車内で何が起きているのか。主人公とエマは調査の果てに思いも寄らぬ真実にたどり着いたのです。
…といったストーリー。
風呂敷の広げ方が秀逸で展開は本当に予想できません。それでいて伏線も全て回収されており消化不良はゼロ。
「ハードボイルド小説やクラシック映画、数々の名作ADVゲームから着想を得た」に偽りのない秀逸な素晴らしいシナリオでした。
なお、事件は電車内で全て完結します。ミステリーゲームは章ごとに複数の事件を解くものと思っている人は肩透かしを食らうかもしれません。
戦争の爪痕が事件を複雑にする

独立を目指した大規模な革命により東西に二分されたヴェンドレカ。西部は独立を果たし、東部はガンブリカへと名前を変え、占領状態が続きました。
そして、現在。ヴェンドリカは繁栄を遂げ、ガンブリカは荒廃の一途を辿っているわけです。
東西分裂、これ自体は史実にもありました。しかし、そのほとんどは後に分裂が解消されています。
もし、そうでなかった場合はどうなっていたのか。本作は史実のifストーリーが展開され、読者に問いを投げかけているのです。
例えば、もしベルリンの壁が壊されなかったらどうなっていたのか。あるいは南北に分裂した朝鮮半島をどう考えるか。
ミステリーだけではない、非常にメッセージ性の強い作品だと感じました。実に興味深い。
事件の果てに2人は何を思うか

モラトリアム真っ只中の主人公と確固たる信念を持つ才女のエマ。
車内で行方不明になった女性を探す中で、2人は別々の葛藤や成長を遂げていきます。
ちょっとした探偵の真似事がいつのまにか殺人事件やヴェンドレカの革命にまで話が膨らんでいくんですよね。
そして、結末はエマの信念が揺らぐほどのものでした。
果たして真実を追うことは正しかったのか。迷うエマに主人公が出した答えはいったい。
真実が見つかってハッピーエンドではなく、そこから何を考えるか。短い時間ながら練りに寝られたシナリオに感服しました。
ゲームシステム
現場観察は捜査の基本

現場観察ではマウスカーソルを合わせて気になるところを調べていきましょう。
とはいえ、事件現場の調査は一瞬で終わり、以降は寝台列車内で素人目線で気になる場所を調べるのみです。
証拠を探すと言うより会話の取っ掛かりを見つける作業なので、観察だけで真実を追い求めることはありません。
あくまでメインパートは次項で話す「聞き込み」です。
場所も狭いので色々な場所をどんどん調査したい人には不向きでしょう。
念入りな聞き込みで新たな証言を引き出す

逆転裁判を意識した作りになっており、登場人物は癖の強い奴らばかり。
バーテンダーとかよくそれで接客できるなってぐらいに意地が悪いんですよね。それなのに最後は好きになるから不思議です。
アニメーションで大げさに動く彼らは見るだけで楽しいものがありました。
さて、そんな彼らは秘密を抱えており、それを暴くことでストーリーは進んでいきます。
もちろん一朝一夕にはいきません。根気強く質問を続けたり周囲を観察したりエマに相談したり。
主人公は本職ではないので対話でしか真実を追えません。しかし、一般人だからこそ警戒もされずボロも出やすいと。
登場人物の設定を活かした堅実な捜査だと感じました。ガンガン証拠を見つける一般人に違和感を覚える僕にとってぴったり。
ほぼ一本道なので詰まることもありません。サクッとクリアしましょう。
攻略のヒント
唯一詰まるであろう部分のヒントを載せておきます。
トランプの意味(CHAPTER4)
8枚のトランプをペアで組み合わせることで数字が判明します。
例:「ハート」のエースと「ハート」の3 ⇒ エース=3
