
※考察はネタバレを含むため、次ページに記載
作品情報
作者:鈴木悦夫
出版社:中公文庫
雑感
童話のような流れで進む児童文学。これは確かに子供向けと言えます。
事件自体は単純。犯人はどう考えても1人しかありえない。
動機もそこまで深く考える必要はないでしょう。
語り手となった少年の心情を生々しく表現した作品であり、分かりやすく不気味な内容でした。
なんだろうな。心にトラウマに似た何かが残るんだよな。
登場人物
連続不審死事件の唯一の生き残り。
極端に飽きっぽい性格ではあるものの感性はいたって常人
省一の独白だけで構成された小説。とはいえ、彼自体に癖がないというか無個性なので、一般的な地の分と比べても違いはありません。
子どもらしい感情はあるんですが、絶妙に頭のネジが飛んでいるんですよね。
じゃあ、異常者かと言うそんなこもとなく。むしろ怖いくらいに常人。
だからこそ本作品の不気味さが増していると言えます。コイツは結局なんだったのか。
事件
「そしてその頃はやった唄」になぞらえて中道家が次々と死んでいく連続不審死事件。
冒頭で語られているように省一以外は全員が亡くなっています。
しかし、事件自体に意外性はありません。真相を知ればなんだそんなもんかと。
複雑な内容もなく、淡々と人が死んでいく話なのです。そうとしか言えない。
非常に分かりやすい不気味な小説。ダークな児童小説として子供たちを惹きつけるのは間違いありません。
ミステリーを求めて読む作品ではない。そもそもジャンルもさっぱりわからない。
しかし、気づけば読む手が止まらなくなり、読後に何とも言えない感情が渦巻く作品でした。
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