目次
作品概要
メーカー:KEMCO
販売価格:3056円
プレイ時間:30時間(メインのみ)
世界観
日本だからこそできる濃密な世界観。
レイジングループの世界にどっぷりはまって欲しい。
村社会と民話のあまりにも深い設定
実在したのでは?と思うぐらいには設定が凝っています。
物語の舞台となる休水村は古くから差別を受け、近隣の良村に支配されていました。
藤良村で特に力を持つ名家を長者と呼び、実質的な治外法権を実現していたのです。
- 三車(みぐるま)
- 回末(うえまつ)
- 能里(のざと)
- 日口(ひぐち)
何百年も前に生まれて現代まで残り続ける差別。それを可能としているのが民話の存在です。
独自の神話・信仰が村民の魂を縛っており、あらゆる不可解なルールを是としているのです。
何が恐ろしいって善人の村民が神話に従ってためらいなく殺人を行うんですよ。
正しい宗教は人を救い、間違った宗教を人を貶める典型的な例でしょう。
普通では許されない殺人。それを正当化する儀式こそ人狼ゲーム「黄泉忌みの儀式」なのです。
それ以外も実際の神話とそれにまつわる民話を絡めた話が多く、民俗学が好きな人はドハマりします。
「穴だらけ」の異色な人狼ゲーム
ルール自体は完全な人狼ゲームです。
- 村は1日に1回しか吊れず、狼は1日に1回しか殺せない
- 役職は占い師、狩人、霊媒師、霊媒師、人狼
- 吊り先は投票で決める
1番を破ればペナルティとして、その日の夜に脱落(死亡)します。
ただ、これには穴があります。自殺覚悟なら狼は何人殺そうが問題ないのです。
そもそもが身内同士の人狼なので、感情論はどうしても発生します。
家族が死んだから他を道連れにするといった行為がまかり通ります。
ゲームマスターがいませんからね。やりたい放題なわけ。
一般的な人狼ゲームでは味わえない衝撃を何度も受けることになるでしょう。ビビるよ。
シナリオ
キャラ良、ストーリー良の大長編ADV
本編とサブストーリーで構築され、本編だけでも30時間はかかります。
キャラの深堀が本当に丁寧。それが16人もいるんですからそら長くなるよ。
また、民話が相当に複雑で理解するのにも時間はかかります。嘘と本当の情報を織り交ぜてるから余計に惑わされる。
流し読みすると確実についていけなくなるという点で難易度の高いADVと言えるかもしれません。
ホラー苦手な人にも丁度良い和風ホラー
リアル人狼なので、容赦なく人が惨殺されていきます。
ただし、そこまで描写は濃くなくCGもありません。スプラッター系が苦手な人も問題ないでしょう。
バイオハザードや零などに耐えられない僕でも普通に行けました。
脅かし系も1個だけです。そこはちょっとビビるので、怖がりな人は昼間のプレイが安全かもしれない。
タイムリープも合わさった傑作SFミステリー
死に戻りを繰り返す房石陽明。
本来は一度きりの人狼を何度も繰り返し、攻略の糸口を見つけます。
この辺はグノーシアと同じですね。
あちらはシステム重視、本作はシナリオ重視と言ったところでしょうか。
その設定を生かして、房石はどんどん死んでいきます。
選択肢を間違えても死、間違えなくても死。あまりにも惨い展開が続くのです。
一通りの役職は楽しめるので、純粋に人狼が好きな人には良い仕組みと言える。
どこまでが怪奇現象か。真実を見極めろ
一見すると全てがファンタジーな物語。
しかし、房石はそれに異議を唱えて休水村の過去を調べ始めます。
- 黄泉忌みの儀式の始まりはいつだったか
- なぜ休水村の住民は殺しを正当化できるのか
- 無残な死体になった原因は
もしかしたら神ではなく人為的な陰謀があるのではないか。
死に戻りを繰り返し、房石は少しずつ真実に近づいていきます。
最後の最後までリアルかファンタジーか分からない。そんなドキドキを味わってほしい。
コメディ要素もあり、読み疲れることはない
全体を通してシリアスですが、一辺倒というわけでもありません。
主人公の房石が良い具合にぶっとんでおり、空気を和ませるためにギャグ連発することもしばしば。
村民も思いのほかノリが良い奴が多いので、コミカルな展開もそこそこあります。
まあ、だからこそ本筋の怖さが引き立つのかもしれません。
システム
ゲーム要素はない純粋なADV
ないです。
選択肢は多いですが、議論を白熱させるゲーム要素はありません。
あくまでストーリーを楽しむ作品と思っておきましょう。
ゲームを楽しみたい人は「キミガシネ」がオススメ。
更に深く物語に入り込める暴露モードあり
2週目で登場人物の思考が明かされる「暴露モード」が選択可能になります。
1周目ではどうしてこうなったのかわからなかった部分。それがすべてわかります。
オマケ要素ではありますが、ある意味で回答編と言った位置づけかもしれません。
まとめ
人狼ゲームは実はオマケで、村社会と民間信仰が本作の肝です。
膨大な情報量なので一発で理解するのは厳しいでしょうが、面白さは保証します。