
目次
作品情報
メーカー:イマジニア
価格:5,980円
クリア時間:10時間程度
販売サイト:
シナリオ
ミステリードラマとして本当に面白い。
ゲーム要素も盛り込んでおり、ミステリーゲーム初心者にオススメしたい傑作でした。
30年前の未解決事件の調査に訪れた学生一行

鳴海沢で30年前に起きた殺人事件「鳴海沢風景画家殺人事件」。
被害者の妻が容疑者として疑われましたが、一週間後に自殺し、事件は被疑者死亡のまま幕を閉じます。表向きは解決した事件。しかし、不明な部分があまりにも多い。自白も無ければ、動機も分からないのです。
粗筋
そこでミス研は研究課題の一環として鳴海沢に赴きました…
未解決事件を取り扱った第1弾にふさわしい内容です。
内容がかなり濃密で読みごたえがあるんですよね。過去と現在の事件が複雑に絡み合っています。
明るめの雰囲気とは裏腹に意外と硬派なミステリーゲームでした。
そんな本作は連続ドラマ仕立てになっており、各話はゆっくり読んでも20分程度。
OPとED、次回予告も用意されており、途中からゲームをしている感覚を忘れるほどででした。

ミステリーゲームは止め時が難しいので、こういう作りだと助かりますね。
取り扱う事件の内容が重いこともあり、小休止がなければすぐに頭がパンクしていたことでしょう。
読者が無理なく事件を追える。読者への配慮が随所にみられる作りに感服しました。
その分、事件の調査はかなりゆっくりしています。とっとと真相を知りたい人には向いていません。
極上の謎だけではない。レトロな街並みも堪能できる旅行ADVとしても秀逸
事件は解決しただけでは物語は終わらない。
事件関係者の胸中は複雑なものであったことは間違いありません。
ハッピーエンドはミステリーゲームではありえない。まさに「ミステリーの歩き方」に相応しい結末でした。
もちろん前向きな人もいますけどね。この辺が他ジャンルとの違い。人によって違うんですわ。
また、独歩と有栖にまつわる謎も浮上します。本作の続編への布石と言ったところでしょう。
ミス研のメンバーも増え、次作がすでに気になって仕方ありません。

本作の魅力は謎解きだけでは終わりません。
自然が豊かで、レトロな街並みを残す鳴海沢。
ノスタルジックな気分になれる素晴らしい世界観を楽しめます。
登場人物も鳴海沢を全力で満喫でおり、様々な場所を訪れます。もはやちょっとした旅番組。
主人公たちの掛け合いも楽しんですよね。ああー、こういう大学生活を送りたかったわあ。
忙しくて旅行に行く暇がない人のちょっとした息抜きにもオススメの作品です。
登場人物
事件にまつわる関係者と、それを調べる部外者たち。
アニメ風のキャラデザで会話のテンポも良いので、スルスルと物語を読み進められました。
嫌味なキャラもどこか抜けていて完全に憎み切れない絶妙な性格をしています。それでいて胡散臭い、推理ゲーの登場人物に相応しい奴らばかりです。
登場人物が多すぎるので、今回はミステリー研究会のメンバーのみ紹介しましょう。
赤沢独歩

我が道を行くキングオブマイペース。反発することがほぼなく、誰かに突っかかられても向こうが勝手に疲れて終わることが多いです。
頭の回転が速く、話し方も理路整然としているため、初対面の人への聞き込みをスムーズに完遂できます。
モノに触ることで過去に飛べる「過去視」のおかげもあって、バンバンと新情報を得る姿は本物の探偵そのもの。
反則気味の能力ですが、独歩以外に使いこなせる気がしません。やはり彼はミス研に選ばれるだけの人物なのでしょう。
南条有栖

ミス研の紅一点であり、だらしない男達を叱るしっかり者のお母さん。
しかし、意外に乙女で恥ずかしがり屋な部分もあります。クールな雰囲気とのギャップが素晴らしい。
なお、陽炎に一方的にライバル視され、事あるごとに突っかかられてはため息をついています。
それぐらいの推理力はあるわけですが、作中では独歩にお膳立てされるせいで助手程度の活躍しかできていません。
しかも周囲は有栖を賞賛するのですから本人からすると面白くないでしょう。
東野陽炎

コイツが好きすぎて物語を読んでいた節さえある。
御曹司ということで人を見下しており、言動だけみるとイヤな奴。
しかし、それを帳消しにするぐらいにポンコツで愛嬌がある。頭の良いバカってこういう奴だよな。
推理力は名探偵コナンの毛利小五郎と大差ありません。基本は独歩と有栖の引き立て役。憐れ。
ボケもツッコミもできる便利キャラで今後も活躍するでしょう。
ミス研を誰よりも愛してるのも良いですね。良くも悪くも真っすぐ。コイツは大成する。
井沢幸太郎

ナンパな性格のムードメーカー。陽炎とはツッコミとボケの関係。
面倒見が良く、独歩をミス研に誘ったり合宿先で起こしに来たりと何かと世話と焼いています。
不快感が一切なく、独歩とは違う意味で誰かと衝突することはありません。安心してみていられる常識人枠。
美女目的でミス研に入っただけですが、意外と鋭かったりする。がんばれ、陽炎。
システム
過去視から得た情報から真実を聞き出せ

推理ゲームというより尋問ゲームと思った方が良い。
特定の物に触れることで、一時的に過去の人物の視点を共有できる独歩。
その風景はまるでファミコンのようで、そこから証拠や証人、証言を探します。
しかし、過去視で得た情報を堂々と話しても頭のおかしい人と思われるだけでしょう。
そのため、現代に残っている情報を上手く組み合わせ、過去視で得た真実を周囲に伝えていくのです。
いわば答えからの逆算的推理。周囲が納得する推理を披露する異色の内容となっており、実に斬新でした。
逆に言うと、王道の推理ゲームを求めている人にはピンと来ないかもしれません。
古畑任三郎の冒頭にある犯行シーンを古畑本人が幻視しているようなもんですからね。
少しずつ埋まっていく人物相関図が楽しい

ミステリー作品でありがちな「あれ?コイツ誰だっけ?」問題。
本作は有栖が相関図を正確に作り上げており、いつでも確認できるようになっています。
相関図は現代と過去の事件関係者、そしてミス研メンバーの3つ。おかげで人物把握が非常に簡単でした。
今ではオッサンのあの人も30年前は美青年だった。時代の移り変わりを楽しめる良いシステムですねえ。
最初こそ空白ばかりですが、調査を進めるごとに段々と埋まっていきます。調査をしているって感じで実に面白い。
考察(ネタバレ注意)
井沢幸太郎について
コイツ、殺スケだろ。
- ミス研に入った理由が胡散臭い
- 真白評「正義感が強いと思ったけど思い違いか?」
- 夜な夜な鳴海沢の街に繰り出している。理由の説明も嘘くさい。
- メインの事件とは別に鳴海沢で起きている殺人事件
- 見ているぞという殺スケのセリフ
- ミス研で唯一経歴が曖昧
あまりにも状況証拠が出すぎています。
まあ、ここまでくるとミスリードの可能性も強そうですけどね。それに有栖の父を殺害した時、高校生じゃねえかと言う疑問も残る。




