【感想】中の人は誰【Vtuberミステリーレビュー】

作品概要
メーカー:莉莉恩工作室
価格:1,400円
クリア時間:9時間(Steam実績100%)
販売サイト:
シナリオ
Vtuber・企業のどちらかを責めがちな人は見ない方が良い。両者の問題点と素晴らしさをフラットに語っていますが、多分納得できないと思う。
それだけVtuberの実情を深く研究して綺麗事無しに語っていました。Vtuberに理解がある人、あるいは興味がある人にオススメ。ハッとさせられるセリフが多いんだよな。
まあ、配信者がプレイするのは難しそうではある。下手な感想を言えばすぐに炎上する。少なくともコメントで議論が始まるのは確実。
事件の鍵を握る「中の人」を見つけ出せ

被害者が着ぐるみなのでコメディ作品を疑いましたが、中身はかなり硬派でした。
最大の特徴がタイトルでもある「中の人は誰」問題。事件の鍵を握っているVtuberの中の人が一向に明らかにならないのです。
Vtuberの所属する企業の社員6名の内、被害者、総務の古谷すみれ、そして本人以外はそもそも知りません。
知っている人物たちも固く口を閉じ、検事の執拗な尋問にも抵抗する有様。
しかし、必ず6人の中の誰かが中の人なのは間違いない。主人公の検事は事件を調査する中で、犯人だけでなくVtuberの正体も探ることになります。
分からないことを活かしたトリックが豊富で全てが新鮮。中盤から複数人が中の人を宣言する展開はまるで人狼です。もうローラーするっきゃねーぜ!
その他もSNSや配信動画の調査などVtuberの特性をうまく利用した事件とトリックの連続で飽きずにプレイできました。本当に面白い。
何度も道を間違えて真実にたどり着け

本作はマルチエンディング方式を取っており、誰を真犯人として告発するかで物語が大きく変わります。
もちろん犯人は変わりません。そのため、誤認逮捕するケースもあります。
こういうのはミステリーゲームでは非常に新鮮でした。間違えても物語が進むんだから結末が予想できません。
なお、製作者はプレイヤーが間違えることを想定しており、バッドエンドを迎えると次週以降の状況が変わっていきます。
もしもの時もヒント機能も設けられており、迷いつつも確実に真実に到達できるシナリオに感動しました。完成度高いって。
Vtuber界隈の知識がふんだんに詰め込まれている

とにかく再現度が高い。上記の配信画面を見ただけで完成度の高さが分かるかと思います。
検事がVtuber界隈の理解がないため、物語を通じて彼と一緒にVtuberを学んでいくことができます。
本作だけで基本的な知識は十分。あまりにも詳しすぎてびっくりしました。
- 企業Vtuber特有の葛藤やメリット
- SNSのはびこる憶測やデマの拡散
- ママ(絵師)やパパ(モデラー)などVtuber特有の用語の説明
昨今はホロライブやにじさんじ等の運営に対する批判が相次いでいますが、彼らにもまた苦しみがあるわけで。
そういう裏事情を書いたという意味でも大変意義のある作品だと思います。
なお、くりぃぱは本作のオリジナルVtuberですが、Youtubeでサプライズ配信をしています。あまりの手の込みように感動しました。
また、彼女以外に登場するVtuberは全て実在する活動者ばかりというサプライズも。Vtuberへの深い愛を感じますね。素晴らしい!
ゲームシステム
基本的な仕組みは逆転裁判と同じですが、独自要素「起訴」が本作を面白くしています。
容疑者6人に尋問して、証拠を集めろ

やることはいたって単純。6人の容疑者を順番に尋問し、証言や証拠を集めていきましょう。
ただ、どいつもこいつも微妙にはぐらかすため調査はかなり難航します。ミスリードのオンパレードなんよな。
証言を鵜呑みにすると混乱は必至。情報の取捨選択がかなり重要なゲームでした。
この思考は後の「起訴」で意味が出てきます。
主人公は犯人を起訴するにあたり2つの証拠を提示しなければなりません。
的外れな意見は通りませんが、バッドエンドルートも存在するため実際に間違えて起訴することも可能です。
情報をしっかり見極めて裁判へと進む。この辺は本作ならではのシステムですね。
もっとも先ほども言ったように製作者はバッドエンドルートを通って最終的に真実にたどり着くことを想定しているため、むしろ間違えが正解と言えます。
さて、ここまでは事件を解くための尋問でしたが、キャラゲーを楽し上でも尋問は重要な要素でした。
感情を隠し続ける彼女たちが新証言で態度を翻す。そこにはどんな葛藤があったのか。
情報を集めるだけでなく彼女たちの人となりも知ることができ、非常に楽しい。終わる頃には全員に愛着が湧いてしまいました。
裁判で容疑者の矛盾を指摘しろ

起訴の後は裁判パート。ここはほとんど逆転裁判と同じです。
証人に証言させ、矛盾を証拠で追求する。そして、新証言を聞き出すと。
尋問パートと違って一本道な上、ミスのペナルティがないので気兼ねなくプレイしましょう。
ただ、突きつける証拠を見つけ出すのが意外と難しいので、ここでも推理力が試されます。まあ、ヒントはもらえるので詰むこともありません。
まとめ
Vtuberの愛が詰まった素晴らしいミステリーゲーム。
ミステリー好きはもちろん、Vtuberの何たるかを知りたい人にオススメの作品です。
ネタバレ感想
個人的に感じたことを語っていきます。ネタバレ含むので注意。
ネタバレ感想
モモカの存在がややこしすぎだろ。
ナオの意図とは関係ない所で場をひっかきまわしたトラブルメーカー。
1人だけ動機が分かりやすく、アリバイも言動も不穏。明らかなミスリード要因でした。
こいつのせいで思考がロックされちゃいましたからね。こんがらがり過ぎて途中からすみれ犯人説をずっと考えてました。
そういう意味では最高のキャラと言える。おかげでナオの意外性が上がりましたし。完全に思考の外だったよ。
なるほど、モデラーが我が子のことで起こるのは分かるっちゃ分かる。そういうトラブルは実際に見ますし。
後はこもりですが、こいつは考えるだけムダな気がします。
明らかに1人だけ神視点で俯瞰していますし、主人公というよりプレイヤーに話しかけています。後の後書きでも話していますが、本作は作中劇らしいですし、そういう存在と理解しておきましょう。
