目次
作品情報
原作:山川直輝
漫画:朝基まさし
巻数:全26巻
出版社:講談社
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雑感
家族を守るため、大量殺人犯となった父親の人生を描いた作品。
自分の行いを常に思い悩み、自殺や出頭を考える日々。
しかし、ここで諦めると家族が殺されてしまう。
たとえ地獄に落ちようと進み続ける様はまさに「マイホームヒーロー」と呼べる存在でした。
犯人を主人公とした作品として屈指の完成度。
手に汗を握る展開の連続で、主人公の生き方を考えさせられる良書です。
登場人物
鳥栖哲雄
一家の大黒柱であり、数多の人間を殺している犯罪者。
と言っても対象は全て家族に危害を加える存在であり、快楽殺人者ではありません。
むしろメンタルは常人と同じで、悪夢にうなされながら生活をしています。
唯一の理解者である妻の歌仙がいなければ、早々に壊れていたことでしょう。
ミステリー好きという長所を活かし、警察の手を搔い潜りながら完全犯罪を成功させています。
犯罪に関するIQがとんでもなく高く、皮肉にも犯罪者が天職だったのかもしれません。
鳥栖歌仙
哲雄の妻であり、哲雄の殺しを手助けるする唯一無二のパートナー。
直接手を下すことはありませんが、彼女無くして完全犯罪は成り立たなかったでしょう。
肝の据わり方が尋常でなく、最初に隠蔽を提案したのも彼女でした。
彼女自身も哲雄に救われた過去があるため、何を犠牲にしても哲雄のために生きるという覚悟を持っています。
鳥栖零花
鳥栖夫妻の愛娘であり、彼らが起こす連続殺人の動機となる人間。
半グレに目をつけられ、行く行くは殺される運命でした。
その事実を知った哲雄が裏で関係者を殺害し続けることに終盤まで気づけていません。
彼女の活躍は物語の終盤で警察官になったとき。
哲雄のこれまでの行い、その動機。全てを知った彼女は何を決断するのでしょうか。
事件
1人を殺すことで、連鎖的に殺し続ける地獄
最初は零花に危害を加える男を殺すだけで終わりでした。
しかし、死体を連中に感づかれるわけにはいきません。
半グレ集団との騙し合いが始まり、どんどん泥沼にはまっていきました。
直接的、あるいは間接的に哲雄は多くの人間を殺すことになるのです。
その数は物語が進むに連れて、どんどん増えていきます。
あまりのスケールに度肝を抜かされること請け合い。
手に汗を握る心理戦
ドンパチだけが本作の魅力ではありません。むしろ心理戦こそが神髄でしょう。
- どうすれば半グレを仲違いさせられるか
- 自分から目をそらすためにどうすべきか
- 家族に危害を加えるものをどう排除するか
犯罪IQは天才的な哲雄ですが、所詮は1人のオッサン。無策では勝ち目がありません。
あの手この手で敵を翻弄し、死線を掻い潜る。
針に糸を通すかのような策を成功させ続ける様子はもはやホラー。なんで生きてんねん。
哲雄は悪なのか
家族に危害を加える存在な上、対象は全て犯罪行為に手を染めている連中です。
しかし、だからと言って殺し続けて許されるのか。そんな問いかけを読者はし続けることになるでしょう。
もちろん法的には許されません。
しかし、殺さなければ家族が皆殺しにされていた。でなくても、人生を棒に振っていた。
家族のためだけの「マイホームヒーロー」として哲雄は殺し続けるのです。
まとめ
心理戦からアクションまで余すところなく楽しめる良書。
3部に分かれているので、3回に分けて一気読みすると幸せな気持ちになれます。