作品情報
作者:太田愛
出版社:角川文庫
販売店:
雑感
文庫2冊でお届けする極上のノンストップクライムノベル
悪漢との手に汗を握る攻防に読む手が止まらない。そんな傑作でございます。
事件の壮大さと人物描写が秀逸なんですよね。敵との戦いも迫力があり、最後まで緊張感のある物語を楽しめました。
なお、ミステリー要素は上巻で終了し、下巻からは大迫力のアクションシーンを楽しめます。
がっつり推理を楽しみたい人は後半が辛いかもしれません。踊る大捜査線が好きな人にオススメですね。
粗筋
駅前広場で発生した通り魔事件。
当初はターゲットを無差別に選んでいると思われたが、どうにも犯人は明確な意図を持って対象を選んでいたようだった。
そして、その執念はあまりにも深い。唯一の生き残りである修司は息つく暇もなく、通り魔事件の犯人からの追跡から続けていた。
俺たちはなぜ殺されなければならなかったのか。
謎の人物に言われた「10日生き延びてくれ」という言葉も耳から離れない。
事件をきっかけに出会った相馬や鑓水の協力を得て、修司は事件に潜む大きな陰謀に挑む。
登場人物
傷害事件を起こした過去を持つ青年。
喧嘩っ早いが正義感が強く、自分以外の誰かが傷つくことを恐れる。
組織から爪弾きにされた刑事。
堅物で曲がったことを許さないが、緊急時は周囲がビビるほどの強硬手段を取る。
飄々とした性格のフリーライター。
メンバーの頭脳担当であり、今回の事件で敵を出し抜く作戦を立案した。
どいつもこいつも気持ちよい奴らばかり。
読んでいて彼らの人生をもっと見たいと思わせてくれました。
敵も悪にふさわしい信念を持ち、ある種の尊敬を抱きます。
ドロドロとした人間模様はほんの少ししかありません。肩ひじ張らずに気楽に読んでほしい。
事件
通り魔事件に潜む陰謀を巡る高度な心理戦
ただの無差別事件をよくここまで壮大な事件に発展させたなと感動した。
先の展開は驚きの連続。それでいて納得のできるラストで読後感も文句なしです。
プロ同士の読みあいが非常に面白く、互いの思惑を看破しながら裏を取ろうとする様は圧巻。
頻繁に有利・不利が入れ替わるので、終盤はどちらの思惑通りに進んでいるのか分かりません。
普通はなんだかんだで主人公側がリードすると思うのですが、本作ではそう上手くいきません。
それだけ敵が優秀。修司ら3人が束になって、やっと渡り合える化け物なのです。
推理パートは前半のみで後半はエンタメ重視
数々の謎が早い段階で消化されます。犯人や動機、手段もすべて。
推理小説としての役目は上巻で終わりなので、ミステリー好きは若干の肩透かしを受けるかもしれません。
後半からはエンタメ特化。犯人を追い詰めるために様々な罠を張り巡らしていきます。
怒涛の展開の連続で、息をつく暇もありません。最後まで犯人の格が落ちることもなく、極上のバトルを楽しめました。
何度も諦めかけて、身体もボロボロになって、それでも味方同士で協力して打ち倒す。
これぞエンタメ小説と絶賛するレベルの面白さがありました。
そんなこんなで上巻と下巻でジャンルが様変わりします。ボリューミーなので、じっくり腰を据えて読んでみてください。


