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作品情報

作者:小泉喜美子
出版社:集英社文庫

粗筋

刑務所で誓う夫婦から始まるプロローグ

物語は死刑確定後から始まります。控訴は可能ですが、今の証拠ではそれも望めない。
それでも妻は諦めません。必ず無実を証明する。

彼女は元職場(ストリップバー)の友人エダに相談し、弁護士を連れてきてもらいます。
ここから彼女の回想と反撃が始まるのでした。

嫁入りした家の複雑な家庭環境に翻弄される

ヌードダンサーのミミイ・ローイが嫁入りしたのは八島財閥の御曹司。
もちろんこの結婚を歓迎する家族はいません。

暗に財産目当てとさげすまれ、夫は夫でごくつぶしと非難されます。
そんな居心地の悪い新婚生活。それでも2人は幸せのはずでした。

事件前日の夜に現れた八島お抱えの弁護士と医者、姉夫婦に1人の娘。
癖の強い人たちと彼女たちの思惑にミミイは翻弄されます。

彼らとの不愉快な交流が濃密に描かれ、運命の日が訪れます。

ある意味で動機付けのための話なのかもしれない。だから殺したんだろと。状況証拠をじっくり書いたんだろうな。

トリック

読む人次第で騙され方が異なる特異なトリック

最後の数ページ、物語は180度ひっくり返る

と帯にありますが、他小説と違って全員がひっくり返るとは言えません。
シルエット錯視に近く、人によって物語の見え方が微妙に違うのです。

文章の妙と言うのかもしれない。
作者の誘導が弱く、さらっと読む人はトリックに翻弄されないでしょう。

ただ、どっちの場合でも感動は間違いなくあるはず。

文体が古く、表現も冗長で読みにくい

1978年の作品ということもあり、書き方が古くて文章が分かりにくい。
読めはするんですが頻繁に「ん?なんだこれ」となって読むペースがどうしても遅れます。

また、リアルを意識しているためか会話が全て冗長。登場人物が余計な言い回しをして読者を惑わします。
ある意味でけむに巻く書き方かもしれない。本筋のトリックの隠れ蓑になってる感。

クライマックス

正直色々な小説を読んでる人はそんなに驚かないかもしれない。
ていうか、さっきも言ったように文章が分かりくくて驚くまで理解が及ばないというか。

こういったジャンルの始祖と思えば秀逸ですが、流石に現代小説の方がレベルアップしてるよなと。

まあ、ページ自体は短めなので軽く読んでみるとよいかもしれない。

まとめ

古典に近い読み物。
面白いかと言われると普通ではあるが、物語の構成は中々に勉強になります。

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