
作品情報
メーカー:パープルソフトウェア
価格:10,780円
販売サイト:R18作品なので未記載
粗筋
行く先々で「間違い」が起きる不憫な少年・大和。
平和に過ごそうと考えて日本に留学したが、女スパイ・潤と部屋の二重契約が発生。
あれよあれよという間に彼女の任務「メルヴィ王女護衛」を手伝うことになり、学園も強制的に転校することになった。
とはいえ、「間違い」には慣れているし、人助けの協力ならやぶさかではない。
持ち前の詐術と観察力を使って、次々と要注意人物の内面を丸裸にしていく大和。潤が驚くほどの成果を上げ、着実に容疑者の絞り込みは進んでいった。
ところが、そんな順調な日々に大きな爆弾が投下されることになる。
大和が記憶から消していた忌まわしい記憶。絶叫と獄炎の中で壊れていく自分の心。立ち直りかけていた彼をあざ笑うかのように過去を想起する「プレゼント」が届けられた。
僕の過去を知っている人物は誰か。その人間はメルヴィ王女暗殺計画の容疑者と同一人物なのか。
過去を思い出し、未来へと進むためのスパイミッションが幕を開ける。
シナリオ(全体)
心理戦を楽しみたい人にオススメのスパイサスペンスADV
観察眼の優れたメンバーしかおらず、空気読みは一流。おかげで会話のテンポが速いの何の。とんとん拍子に話が進む様は他のADVと一線を画します。
気持ちの良い奴らばかりで日常パートも実に面白い。笑いとシリアスの緩急が絶妙で、いつまでも彼らの学園生活を楽しみたくなってしまいました。
もちろんギャルゲーらしいボーイミーツガールも存分に楽しめます。女スパイ・潤との禁断の愛、上がり症のティナとの甘酸っぱい恋物語、肉食系女子メルヴィとの熱い恋愛。どれも違った良さがありました。
ただし、そんな彼らも「騙しあいの世界」で生き抜く曲者揃い。あいさつ代わりの心理戦は日常茶飯事。本気のバトルでは、敵味方が頻繁に入れ替わり、どういう着地をするのか想像がつきません。
才能に優れた人間の表現が申し分なく、天才達の駆け引きを存分に楽しめる作品に仕上がっています。
間違い続ける少年が起こす奇想天外な事件の数々

常に「間違い」が付きまとう不幸体質の病弱少年・大和が原因のトラブル続きなスパイミッション。
潤との部屋の二重契約もそうですが、一連の事件は彼の不幸体質に巻き込まれた人々による「間違い」の連鎖が原因な所があります。ある意味で黒幕。
もちろん彼に非はなく、苦しみながらも前を向いて事件を解決しようと動く様は正義の味方そのものです。
そんな彼は頭脳戦では潤をも出し抜く怪物ですが、体力とメンタルは一般人以下。表では笑い、心で泣くタイプです。不安定な大和だからこそ物語に緊張感が生まれ、ハラハラした物語を楽しめました。
でなければ大和が無双がしますからね。観察眼が優れている上、普通の人は忌避する性悪なトラップも容赦なく実行するから恐ろしい。
芯がしっかりしており、泣き言もほとんど言わない。応援したくなる主人公でした。
個別シナリオ評価
スパイ編の潤、青春編のティナ、真相解明編のメルヴィの三部構成になっており、潤→ティナ→メルヴィの順にしか攻略できません。
潤ルート:極上のスパイミッション

断トツで面白い。紹介しようと思った理由は彼女のルートにほれ込んだからです。
クライマックスまで潤の正体が周囲にバレておらず、しっかりとしたスパイミッションを楽しめます。
関係者を慎重に調査し、容疑者候補から外していく展開はミステリー好きにも申し分なし。
ラスボスとの心理戦は本作の魅力を凝縮しており、衝撃の連続で息をつく暇もありませんでした。
一般人と女スパイの禁断の恋物語も一見の価値あり。何となく想像できるでしょうが、簡単には実りません。下手をすれば大和共々殺されて終わりですからね。
その他にも手に汗握る知略戦がたっぷり用意されており、キャッチフレーズ「恋・爆弾・だまし愛」に恥じない内容になっています。
そんなこんなでサスペンスとしてもラブロマンスとしても完成度の高い傑作ですが、力の入れ過ぎで後のティナ・メルヴィルートの盛り上がりがイマイチに。
「大和の両親の死の真相」と「メルヴィ暗殺事件」の謎が一挙に解決し、他に気になる謎が残りません。
一応は大和の出生も謎ですが、そこまで興味をそそられる内容でもなく。
それだけ潤ルートが面白いってことなんですけどね。特にティナは割を食ったなとは思う。
ティナルート:イチャラブ特化

仮の恋人関係になった2人が次第に本当の恋人になっていく…といった王道のギャルゲー的展開。
上がり症で男性とまともに手をつなぐこともできないティナの反応が可愛く、ビビりながらもゆっくりと大和と距離を縮めていくシナリオはキュンキュンしました。
ヒロイン随一の包容力があり、なんやかんやで大和ともっとも相性の良い女性なのかなと思います。
大和が両親の顔を思い出すまで持ち直したのはティナルートだけ。ラストの幸福度は潤やメルヴィ以上じゃないかな。
一方でスパイ作品としては微妙。ティナはほぼ一般人なので、危ない展開にはなりません。
メルヴィ暗殺計画も早い段階で解決するため、イチャイチャするしかないのです。
潤のような刺激的なシナリオを求めていた僕にとっては正直退屈でした。
クライマックスにラスボスが登場するものの攻略はアッサリ気味ですからね。
後の話で感動のラストに水を差されてしまったのもイマイチ。彼女の解釈は間違ってはいなかったんですけど、どうにもご都合主義を感じてしまう。
メルヴィルート:怒涛の伏線回収

最後に選べるルートで実質トゥルーエンド。彼女を攻略せずにマガルミナは語れない。
「間違い続ける大和」と「常に正解を導き出すメルヴィ」の対比が主軸になっており、大和の生い立ちが明らかになります。伏線が全て回収され、結末も申し分なし。読後感は間違いなく最高です。
中盤までラスボスが誰か分からず、潤ルートと同様のワクワク感がありました。クライマックスの総力戦は見ごたえ抜群。登場人物全員に活躍の場があり、トゥルーエンドにふさわしい怒涛の展開がたまりません。
難点として、風呂敷がドンドン広がっていくため話が非常に難解。哲学的な問いも多く、潤ルートのような分かりやすさはありません。
総合すると無難に面白いですが、やはり潤ルートに一歩及ばないかなといった感想。



