作品情報
作者：阿津川辰海
出版社：光文社
全体の感想
ガチで面白い。
事件の壮大さ、ムリの無い推理、予想外のラスト。すべてに文句なし。
- 複数の事件が絡み合うのが好き
- 前提を覆される驚きと感動がほしい
- しっかりと推理してほしい
上記を希望する人にぴったりの作品でした。
推理小説としての要素はしっかり押さえており、ラストの爽快感も中々。
非の打ち所がない傑作だと言えます。
トリック
リアルタイムで起こる2つの事件
良いねえ。複数の事件が絡み合うのたまんねえ。
本書ではリアルタイムに2つの事件が起こっています。
- 探偵である大野礼の誘拐
- 大野家の斜向井の家で起きた殺人事件
厄介な点として誘拐犯の一味が大野家を見張っており、警察の動きが制限されています。
2つの事件の情報交換をするだけでも困難。警察の存在がバレると大野礼の命に関わると。
タイムリミットまで時間が無い・捜査も難しい。そんなギリギリの中で話は進むのです。
事件として非常に面白い。僕は好きだね。
動機となる15年前の事件
さて、調査の中で今回の事件は「15年前の事件」が関わっていたことが分かりました。
それこそが今回の事件の動機であり、解き明かすことが犯人にたどり着くのです。
1冊の中で起こった事件が多く、更にそれが1つの解に収束する流れは圧巻でした。たまんねえよぉ。
クライマックス
今回の探偵役は2人。
- 誘拐された大野礼
- 大野の部下である山口美々香
2人も紛うことなき天才で、追い詰められた状況で事件を解決に導きます。
推理の過程も丁寧かつ驚きもありと文句の付け所がありません。
特にラスト数ページは煽り文句通りの衝撃があります。え、そこの前提崩れるの？
しっかり伏線を張っていたため読み返すと1週目と違った感動が得られました。
意外性はない王道の推理小説
事件自体はメジャーどころの組み合わせではある。その組み合わせが絶妙なんだけど。
- 誘拐
- 殺人事件
- 同時に起こる2つの事件
- 動機は過去の事件の復讐
推理小説で思いつくメジャーな要素を網羅しています。
これ見たことない！ってのは基本的にありません。
奇想天外な推理小説が好きなら「特殊設定ミステリ」がオススメ。
まとめ
文句の付け所の無い傑作。
後味も良く、すっきりとした読後感を得られます。
