作品情報
作者:澤江ポンプ
出版:torch comics
世界観
特発性多発性染色体変容、別名「変身病」が流行している世界。
人間が何らかの動植物へと時間を経て変態する奇病。
その過程で人間の姿はもちろん知能まで消失。最終的には完全に動植物へとなり果てるのです。
恐ろしいなんてもんじゃない。実際、作中で恐怖から自殺する人もいます。
人間が全く別の何かになる。有川浩さんの塩の街に近いものがありますね。
変身するだけでも恐怖ですが、世間の理解が全くないのも地獄です。
- 仕事はクビ
- オリンピックなどの資格喪失
など、お金を稼ぐことが難しくなるのです。
まあ、会社からすれば確実にいなくなる存在ですからね。さもありなん。
本作は終末へと向かい始める序曲。
いずれくるであろうポストアポカリプスを予感させる世界観です。
粗筋
主人公は変身病を患っている半田。
行く行くはジャイアントパンダへと変身することが確定しています。
そんな彼を高校の先輩である竹林が拾ってくれました。
半田は竹林探偵事務所で助手として働くことになります。
探偵といっても推理的な要素は全くありません。
- 娘を探してほしい
- コンサートを中止にしてほしい
- 変身病の犯罪者を捕まえてほしい
竹林は変身病専門の何でも屋として、様々な依頼を請け負っているのです。
変身病が世界に与えている影響はなんなのか。普通のヒトとは違うのか。
同じ変身病患者である半田視点で患者たちと向き合っていきます。
見所
1話完結もので、1巻だけでも満足度は高い
休載中の本作ですが、1巻だけでも物語を十分に楽しめます。
2巻への布石こそれど、話自体は1話完結ですからね。
- 家族愛
- 友情
- 野生化する変身病患者
各話で明確なテーマがあり、短編としての完成度が本当に高い。
平穏だからこそ感じる得体のしれない恐怖
粗筋でも言ったように謎解き要素はありません。
終末感特有の絶望感もありません。なんなら読後感の良いヒューマンドラマと言っても良いかもしれない。
世間が平然と受け入れてるんですよね。自分はなってないから大丈夫だ理論みたいに。
どこかのんびりとした日常。変身病以外は現実と変わりません。
ですが、それが本当に気味悪いんですよね。死と同義の病気なのになぜ平然としていられるのか。
平穏でありながら異質。そんな不思議な怖さを本作で感じることができます。
まとめ
何も変わらない日常に変身病という異常性を付加した作品。
少女終末旅行のような不思議な怖さを感じます。オススメ。