目次
潜入捜査官と偽装刑事の真逆の2人
- 織田組に潜入捜査を行う森屋純
- 警察組織で情報を横流しする織田組の高山亮介
立場が真逆の2人が現状に苦しみ、それでもあがき続ける作品。
息の詰まる展開の連続で観た後の脱力感が半端ありませんでした。
高山は最悪捕まるだけですむかもしれませんが、森屋はバレたら拷問された後に殺されますからね。
そういう意味で森屋パートがもっとも緊張しました。
本心を曝け出せる人との出会いが続く森屋編
長年ヤクザとして潜入捜査をし、背中に刺青さえ入れてしまった森屋。
いったい自分は本当に警察なのか。心までヤクザに染まってしまっているのではないか。
死と隣り合わせの生活で更に疲弊し、不眠症にまでなってしまいます。
しかし、そんな時に出会った精神科医の西田奈緒子が彼の心を癒しました。
森屋も自然と惹かれたのでしょう。秘密にしていたことのほとんどを打ち明けますからね。
また、織田組でも孤立はしておらず、弟分のヒロシがずっと慕ってくれていました。
死のリスクにおびえる一方で、彼を支える人も大勢いた。それが彼の救いになっていたのは間違いありません。
順風満帆な警察人生だが、心が信頼できる人はいない高山編
一方で高山編はどうか。
警察では警部のポジションとなり、お日様の下で堂々と生活できています。
1人暮らしということもあって自由に使える金も時間も多かったでしょう。
しかし、彼はあくまで偽装刑事。親父に情報を横流しするコマでしかありません。
一見すると順風満帆。しかし、実際はただの操り人形に過ぎない。そんな生き方に高山は苦しみます。
かといってこんなことを誰かに相談できるわけもない。
森屋と違って、実はヤクザだなんて言えば逮捕されてもおかしくありません。
命の危険はありませんが、心の休まる場所はない。果たして森屋とどちらがマシなのでしょうか。
俳優の名演技が光る
みんなうまいですが、特に小日向文世さん演じる織田大成の活躍が光りますね。
底知れぬ怖さがあります。ずっと笑ってるのに怖えよ、この人。
結局、森屋純も高山亮介も最後まで織田に振り回されましたからね。
主演の2人はいうに及ばず。ハードボイルドでかっけんだわ。
後、個人的に角野卓造もはまり役でしたね。責任感の塊であり、そのために手段を択ばない冷徹さがありました。
2人は何を失い、何を得たのか
そもそもが敵対組織の2人。どうあがこうが両者ともに納得する終わりにはなりません。
森屋が警察に戻れば、いずれは高山の正体にも気づくでしょう。
森屋がいる限り高山に平穏の日々は訪れないのです。
- 2人の最後はどうなるのか
- 2人を愛した女性はどうなるのか
- 彼らを翻弄した2つの組織はどうなるのか
ラストの怒涛の展開は開いた口がふさがりませんでした。
いくらなんでもヤクザが強すぎ問題
普通に街中で銃撃戦しているので、軽いファンタジーです。
まあ、昔はこんな感じだったかも…違うかも。
警察であろうと容赦なく撃ち殺しますからね。そら警察も殺す覚悟で応戦するわ。
ある種のパラレルワールドかもしれない。マスコミも全面戦争かと平気で煽ってるし。
なお、作中ではひたすら麻薬のやり取りしかしていません。
みかじめ料的な話はないですね。まあ、わざわざする必要もないですが。
絶対に織田組をつぶしたい神奈川県警と、警察を掌握したい織田組の命を懸けた総力戦です。
最後に
どうあがいてもすっきりしたラストにはなりません。
なので、きれいな終わりを求める人には不向きです。
とはいえ、作品としては間違いなく面白いので断然オススメです。