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作品情報

作者:飾守きょうや
出版社:角川ホラー文庫
販売店:

雑感

幻視で明らかになった連続殺人鬼・佐伯の凶行を止める異色のサスペンス小説

証拠から犯人を割り出すのが一般的ですが、本書では幻視で判明した犯人を追い詰める証拠を探します。
殺人鬼と仲良くなり、隙を伺う久守。そして、最後には彼の自宅で決定的な証拠を掴むと。

何から何まで斬新で掴みは完璧。序盤は新鮮な気持ちで読み進められました。

ただ、中盤のテンポはイマイチで、少々中だるみを感じてしまいました。

とはいえ、ページ数が少なく読みやすい部類ではあります。クライマックスの大どんでん返しも悪くない。
ホラー要素も一切ないので、設定が好みなら是非読んでみてください。

登場人物

久守

触れた人の後ろ暗い秘密が視える特異体質のせいで人付き合いを避けている大学生。
正義感は人一倍で、厄介ごとに首を突っ込みがち。

不快感のないスタンダードな主人公。
根暗なのは特異体質のせいで、活用を始めてからは前向きな性格に戻りつつあります。

石橋を叩いて渡るタイプなので、短慮な行動でヤキモキすることはないでしょう。

そのせいでドキドキハラハラな展開が少ないのは注意。ラストまではほとんど予定調和に進みます。

事件

能力を鍛えながら殺人の証拠を掴め

幻視によって久守は最初から犯人を知っているため、トリック・動機・犯人を捜す一般的な推理要素は一切ありません。

重要なのは証拠集め。そのためにどうやって佐伯の家に行くか。そこまでの過程が本書の全てです。

事件へのアプローチ方法は唯一無二。突入日に備えて能力を見直し、実際に行動してPDCAを回す流れは中々にワクワクしました。

ただ、その過程で別の2つの事件を解決するストーリーがあるのですが、メインの事件との繋がりはほとんどなく、結果としてクライマックスまでの積み重ねが弱くなったのが気になりました。

序章とクライマックだけ読めば十分なんですよね。大筋の物語に2つの短編をくっつけた感じになっています。

久守と佐伯の関係を深める上で必要だったかもしれませんが、結果としてクライマックスの盛り上がりが今一つになった気がします。

予想外の結末は面白いが、消化不良な部分も多い

衝撃的な展開で驚きはしましたが、そこを意識しすぎて他の要素が投げっぱなしになっている感がありました。

久守の成長物語になっているかと思いきやそんなでしたし、久守と佐伯の奇妙な友情も有耶無耶なまま終わります。
まあ、回答を出さないのが久守の結論だったと言われればそれまでですが。

ラストの衝撃ありきで物語を進めていて、それ以外の深堀がどうにも物足りませんでした。

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