週刊少年マガジンに掲載されていたエデンの檻。
打ち切りかと思われる程の終盤の巻き具合に賛否両論はありますが、僕にとっては大ヒット作でした。
まさか1日で全巻読み終わるとは。ということで、本作の感想と終盤の考察をしたいと思います。

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作品情報

作者:山田恵庸
出版:週刊少年マガジンコミックス

絶滅動物とのサバイバルは非常にスリリング

大筋は他のサイトに任せるとして、簡単に紹介をしますと
『修学旅行中の飛行機が墜落して絶滅動物が歩き回る島に不時着してしまった!?
アキラ達の未来は!』

てな感じです。絶滅動物のどう猛さと怖さを見事に描き切った傑作だと思います。
サバイバル生活としてもすごく楽しい。主人公が無双するのではなく集団で協力して生きていくってのもグッド。

ただ、伏線をばらまき過ぎたせいで回収が満足にできていません。
なので、人によっては消化不良を起こします。

しかし、妄想が好きな人たちにとっては考察しがいがある作品とも言えます。
僕も朝まで消化しきれなかった伏線の意味を考え続けていました。

ということで、これからネタバレ全開の考察に入っていきます。

本作は謎が分かるまでのドキドキ感が面白さの肝なので、ネタバレを見ると面白さが激減します。
なので、読んだ人だけ見てください。

謎を解くためのキーとなる伏線の再確認

まずここで残された伏線の確認をします。

伏線一覧
  1. 飛行機墜落中にアキラとりおんの間に生じた歪みの意味
  2. 墜落で皆が無傷だった理由と機長の意味深なセリフ「急がないと帰れなくなる」
  3. グアムのお面をかぶっていたハデスの正体とは
  4. ミイナの記憶喪失の理由

最後まで明かされなかった伏線ですが、物語の序盤から張られていたので重要な意味を持つのは間違いありません。
これを軸に考えていきます。

タイムスリップ説とクローン説のどちらが真実か

エデンの檻はタイムスリップ説クローン説で議論をされています。
まずはタイムスリップ説から見ていきましょう。

タイムスリップ説では伏線を回収できない

  • 飛行機墜落中の謎の歪み
  • 最終話での仙石優奈のセリフ「私の作ったライカ島でみんなが生きている夢を見る」

以上のことからタイムスリップ説が生まれました。
しかし、この説では他の伏線の説明がつきません。

まず、機長のセリフから彼だけは現状を正しく理解していると思われます。
ただ、機長がタイムスリップ説を知っているとは考えにくいんですよ。

本書のテーマは「遺伝子」であって「時間跳躍」ではありません。
それなのに機長がタイムスリップの事実を伏線として残すのは違和感があります。

また、機長は戻る手段を知っていそうですが、物語中にタイムスリップを可能とする証拠は一切ありません。
このことから機長はタイムスリップ以外の事実を知っていると推測されます。

ハデスとミイナについてもタイムスリップの伏線とは到底思えません。

クローン説ならば機長のセリフの謎は解ける

では、クローン説ではどうでしょうか。

これならば機長の意味深なセリフは説明がついてしまいます。
まず、機長は何を知っていたのか。

これは明白です。ライカ島で絶滅動物が生きていることを知っていたのです。

また、機長はもう1つ意味深な言葉を残していました。

「本当に・・・私の腕ではないんです・・・」

機長の言葉

これはつまり機長は自分では何もせずに完璧に不時着をしたということになります。
そんなことが可能なのでしょうか。

ずばり言いましょう。飛行機は最初からあの状態でライカ島に作られたのです。

そして、機長はライカ島の現状を知っていました。
このままでは死んでしまう。そう思ったのでしょう。

ハデスとライカ島の真実

ここからは根拠があまりにも乏しい話ですので、お話し程度に聞いてください。

この表題のキーワードはハデスとライカ島で起きたバイオハザードです。

人間のクローンを作らないわけがない

エデンの檻では絶滅動物のクローンばかり話されていますが、人間を作ろうと考えなかったのでしょうか。

それは到底納得できません。
ミイナの祖父や仙石優奈の様子から蘇りを願わない家族はいないと断言できます。

確かに2人はエデン計画を語る中で生き返らせたいとは言っていません。
しかし、後継者の仙石フレイに夢の話をしていました。

フレイはそんな夢を叶えるために動いたと考えられないでしょうか。

そう。アキラのクローンを生み出し、ライカ島で生活をさせることです。

ライカ島の実験は一度失敗した!?

仙石フレイはついにアキラ達のクローンを生み出すことに成功します。
そして、仙石優奈の想いを受け、アキラ達をライカ島で生活させようとしました。

しかし、ここで問題が起きます。

皆さん、考えてみて下さい。
ある日、目を覚ましたら「あなたのオリジナルは死んでいて、家族ももういない。
クローンだけど人生を満喫してほしい」

こんなことを言われて納得できますか。普通ならば発狂ものの真実です。
そして、全てに絶望した1人の人間がライカ島の人間すべてを殺害します。

これがクローンの1人ハデスであると考えられます。

また、ハデスはアキラに特別深い憎しみを持っていました。
それは何故だと思いますか?

自分と同じ人間が目の前に現れたから。そうは考えられないでしょうか?

つまり、ハデスは1回目のクローン実験の生き残りのアキラだということです。

ライカ島が2つ存在する可能性

ハデスによってライカ島は壊滅しました。もうクローン実験は不可能のように思えます。
しかし、気になる点があります。それは緯度です。

ミイナの墓には『N21.97 F135.13』と刻まれており、沖縄の近くだと真理谷は考えました。
しかし、実際のライカ島はグアムに存在していたわけです。

ここでてっきりミイナが死んだ場所、つまり、墜落地点を墓に刻んだと考えていました。

しかし、最終話で仙石優奈がライカ島に降り立つ時におかしなことを言います。

この下にあの子が眠っているのね。

仙石優奈の言葉

仙石優奈の言葉を信じるならばライカ島=飛行機の墜落地点となります。
そして、「座標16.79-148.35」とパイロットが言うようにライカ島はグアム付近で間違いありません。

ならば、ミイナの墓に書かれている場所は一体…?

これに対する僕の考えはこうです。
ライカ島は2つ存在しており、ミイナの墓にはその場所が刻まれていたのです。

そして、そこに人間のクローンを生み出す研究所がある。そう考えています。

ミイナは作中でキーマンとして描かれていました。
となると、ただの墓とするのは少し違和感が残ります。

同じ失敗を繰り返さないために記憶に近い状態を作り上げる

再びアキラ達のクローンを生み出した仙石フレイ。
しかし、また集団パニックを起こすかもしれない。

そこで考えたのが記憶に齟齬の無い状況の再現です。
飛行機をあたかも不時着したかのようにし、そこにクローン達を寝かせます。

しかし、仙石フレイはここでも集団パニックが起こるのではと危惧します。
念のため全てを知る人として機長を残しました。彼にはすぐにスクールに移動するように言い含めていたのでしょう。
あそこならば絶滅動物は襲ってこれませんからね。

とはいえ、二度と失敗をするわけにはいきません。何重もの対策を施さなくてはならないのです。
そのため、仙石優奈の悲願であるアキラだけは別の場所に避難させたのです。

しかし、ライカ島は絶滅動物の溢れる危険な場所。1人だけではすぐに死んでしまう。
そこで絶滅動物図鑑を持ち頭脳明晰な真理谷と大森も近くに寝かせることにしました。

こうすることでアキラの記憶には若干の祖語が生まれてしまいました。

それこそが墜落中の飛行機内で起きたゆがみなのです。記憶が捻じれた結果です。

また、仙石フレイはミイナの記憶もいじることにしました。
当たり前です。自分の書いた動物が歩き回っていたらミイナは異変にすぐに気づきます。

そして、早い段階で真実に気づき、それをアキラ達が知ったら耐えられたでしょうか。
事実は分かりませんが、仙石フレイはパニックを起こすと考えたのでしょう。これがミイナの記憶喪失の真実です。

まとめ

アキラは苦難を乗り越え、そして、最後は真実(実際とは違いますが)に気づきつつも前を向く決意をします。
ここに仙石優奈の悲願が実ったのでした。

僕はエデンの檻が大好きです。徹夜の勢いで一気読みしました。
ラストは度肝を抜かれましたが、ある意味で考察の余地を残してくれたとも言えます。

伏線を残したままミステリアスで終わる作品の良さを出したのではとポジティブに考えています。

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